No.17
2009.2.9
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp
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こばと保育園が大学直営の学内保育所に
しかし、保育士は最大5年しか働けない
これで安心してお子さんを預けられますか?

 こばと保育園といってもご存じない方も多いかと思います。病院内にある熊本大学附属病院の院内保育所です。1970年に看護師の授乳施設として設置され、その後、病院附属の保育園になり多くのお子さんを預かってきました。教職員が安心して働き続けられるためになくてはならない施設になっています。
 今回、保育園の施設が新たに竣工したことに伴い、保育園の運営形態が検討されてきました。企画課長を座長とするWGには、こばと保育園の運営委員会委員長(保護者の代表)も参加して議論を重ね、最終的に大学直営方式が提案されました。これは12月3日の役員会で決定され、具体的な制度の整備の段階に入っています。今後は、男女共同参画推進の観点から熊本大学全教職員のための学内保育施設として、保育園の充実が図られることになります。
 外部委託にする大学も多い中で、熊本大学が直営方式を決断した背景には、保護者の方々のひとかたならぬ努力があると伺っています。大学の決断と保護者の皆さんの活動に敬意を表します。

エッ!保育士は最大5年しか働けない
 しかし、保育士の処遇の検討が行われる中で一つの大きな問題が浮かび上がってきました。それは保育士が大学職員になるに伴い、現行の有期雇用職員就業規則の適用が前提とされたために、最大5年しか働けなくなることです。もちろん現在の保育士の中に熊本大学の正職員の方はいません。このままでは法人化前から働いていた人を除いて全員が5年で雇い止めになってしまいます。
 皆さん、保育士が5年ですべて変わってしまうような保育園に安心して子どもを預けられるでしょうか。保育園は子どもにとって生活の場です。保育士は親とともに子どもの成長に関わります。ですから、子どもを預けるには保育士に対する信頼感が不可欠です。しかし、このシステムでは保育士のリーダーも育ちません。まさに「仏作って魂入れず」という事態になりかねません。

パートタイム職員でも継続雇用は可能
 熊本大学では、正職員以外の職員はすべて1年契約で雇用されています。契約の更新も可能ですが、原則2回、最大4回に制限されています。しかし、この制度は熊本大学が定めたことに過ぎません。例えば法人化前はパートタイム職員については更新回数に制限はありませんでした。民間でも、非正規の期間を定めない雇用(定年まで働くことのできる雇用形態)は多く存在します。法的に4回に制限しなくてはならないとする制約はありません。

WGの報告書では将来的な課題として
「将来的には、保育の質の充実・向上のため、大学内外(教育の専門家や附属幼稚園の教員、幼児教育の専門家など)の専門家による保育の質を検証する体制の整備や本学の幼児教育の専門機関としての役割を発揮するため、より一層、研究能力と指導力を有する保育士の育成に努める必要がある。」
とうたっています。この認識と全員を最大5年しか雇用しないという仕組みに、多くの人が矛盾を感じるのではないでしょうか。保育士という大学直営によってまったく新しく生まれる職種です。正職員がいないという特殊事情もあります。大学として、まずは更新回数の制限の不適用を決断するべきだと思います。それがこの保育園を、私たち教職員が安心して子どもを預けられる施設にするための最低限の条件です。皆さんのご意見をお寄せください。

保育士の処遇には他にも様々な問題が
 保育士や園職員(又は調理師)には賃金面を含めその責任に応じた待遇が必要です。しかし、保育士の皆さんは何よりも長期間安心して働ける職場を求めています。この思いは要望書として大学側に伝えられています。
 しかし、現在提案されている保育士の待遇案には雇用期間以外にも様々な問題があります。賃金の安さもありますが、一日の労働時間が7時間になっていることや、技術補佐員(保育士)という職名にも保育士の皆さんは不満を感じています。組合はまずは契約更新回数の上限撤廃に取り組むとともに、保育士の皆さんの意見・要望を踏まえながら、待遇の改善のために粘り強く運動を進めていきます。


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