No.24
2009.3.18
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp
PDF版はこちら


勤務時間と有期雇用職員の待遇問題の
2回目の団交が行われました
パート職員のボーナス、雇い止め問題について
4月中に再交渉を行うことを約束

 3月4日、勤務時間短縮と(特定)有期雇用職員の待遇改善について2回目の団交を行いました。まず、次の2点を確認しました。
(1)2009年度より終業時刻を15分早め、所定労働時間を7時間45分に短縮する。
 対象は所定労働時間が8時間とされていた全教職員(有期雇用職員を含む)です。また、時間外労働の割増賃金について、夜10時までは一律125/100で扱うことになります。労基法では8時間までの法内残業については100/100でよいとされているので、労基法の基準より良い条件です。
(2)パートタイム職員の時間給を3.2%程度引き上げる。
 正職員には基本給の切り下げなしに勤務時間の短縮が行われるので時間給は増加します。それに合わせてパートタイム職員の時間給の増額を要求していましたが、15分間に見合う3.2%の引き上げを行うことで合意しました。なお、学校医など定額で定められている職員には単価の改定は無いということです。
 その他の要求項目である、パートタイム職員のボーナス、非常勤講師の通勤手当、有期雇用職員の正職員化の問題については、使用者側が検討中ということで4月に先送りされました。ただし、正職員化の問題については社会的問題になっている雇い止め問題とも関連するのでこの団交でも議論を行うことにしました。

学内選考試験による有期雇用職員の正職員化について
 すでにニュースでもお伝えしていますが、1月に有期雇用職員を対象にした事務系職員の選考が行われました。104名が応募し8名が採用されたそうです。使用者側からは「優秀な方を選抜できた。来年度もこの方法でやりたい」との見解が示されています。

雇い止め問題について
 有期雇用職員の正職員化は組合の基本的な要求ですが、人件費の問題もあり正職員を大幅に増やすことは困難です。しかし、現行の就業規則のもとでは正職員にならない限り最大5年で雇い止めになります。現在の雇用不安の中で雇い止め(解雇)されることは職員にとって死活問題であり、非正規だからといって安易に雇い止めにすることは社会からの批判を招きかねません。実際、京都大学での大量の雇い止めは新聞報道で大きく取り上げられており、国会でも論議されました。
 組合は業務が継続しているのに職員を雇い止めにし、同じ業務に新たに人を雇い入れることは道義的な問題があるとの考えから、臨時的な業務など必然性のあるものを除いて基本的に雇い止めは行うべきではないと考えています。しかし、雇い止めそのものが大学運営の観点から見ても重大な問題になる場合もあります。団交では雇い止めに対する原則的な批判を行ったうえで、病院の特定有期雇用職員の問題と学内保育所の保育士の問題を取り上げました。

病院の特定有期雇用職員(医療技術職員)−病院経営上重大な問題
 特定有期雇用職員は看護師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師などの医療技術職員で正職員と同等の仕事を行っている職員です。2006年4月の制度化の際、雇用期間が最大5年とされたので、2011年3月末に大量の雇い止めが生まれます。病院運営に深刻な影響を与えることは必至です。また5年しか働けないということで、新規の職員の募集になかなか人が集まらないという状況が深刻化しています。
 組合は正職員化を要求するとともに、緊急な対策としてまず5年という雇用期間の制限を撤廃するよう求めています。2月に行われた病院長交渉でも、病院側と同じ認識であることを確認し、病院としても文書で要望書を出すことを約束しました。また新病院長との早期の懇談も要請しています。団交ではその経緯を伝え、2009年度中に対応策を決めることを再確認しました。

こばと保育園の保育士−男女共同参画推進の上で問題
 こばと保育園の大学直営化と学内保育所としての位置づけは男女共同参画推進の観点から行われたものです。しかし、保育士は全員パートタイム職員と位置づけられたため、5年の雇用制限が適用されます。赤煉瓦17号でもお伝えしたように、これでは安心して子どもを預けることはできません。理事は男女共同参画推進委員会の委員長を務めているので、その観点から見直すように強く求めました。
 議論では組合のこれでは安心して預けられないという主張は認めつつも、「当面は法人化前からの職員もいるので、その人には5年の制限は適用されない」と述べました。組合のこのままでは近い将来問題がでるという指摘に、「問題があるという認識は組合と変わらない」と述べ、改善の必要性は認めました。ただし「保育士だけ特別に扱うことは困難」「雇用条件の縛りがある」などと、対応の難しさを主張し団交での前向きな回答を避けました。
 組合は「雇用条件の縛り」という発想自体が公務員的だと批判し、雇用期限を設けなくても労基法上はまったく問題が無いこと、実際に雇用期限を設けていないあるいは撤廃した大学もあることを指摘した上で、今後の前向きな検討を求めるとともに、特定有期雇用職員の問題と合わせて来年度中に結論を出すように要請しました。

今後の団交について
 パート職員のボーナスの問題は検討中ということでこの団交では議論されませんでした。しかし、6月期のボーナス支給を考えれば4月中の再交渉は不可欠であると主張し使用者側も基本的に受け入れました。そして非常勤講師の通勤手当の問題や、有期雇用職員の正職員化の問題(雇い止め撤廃を含む)を含めて4月中に再交渉を行うことで合意しました。


赤煉瓦目次へ