No.31
2009.5.13
熊本大学教職員組合
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雇用不安が広がる中,
有期雇用職員の不必要な雇い止めに反対します
−団体交渉(4月24日)報告−
 
 4月24日にパート職員のボーナス支給などについての団体交渉が行われました。使用者側出席者は森理事、小原総務部長他10名、組合側出席者は市川委員長、松瀬書記長他12名です。交渉項目は追加の3項目を含め以下の6項目です。
(1) パートタイム職員に対する期末手当の支給について
(2) 非常勤講師の通勤手当について
(3) 有期雇用職員の雇用期限について
(4) 旅費規則の改正における不利益変更について
(5) 公募が行われている国際化推進センター教授の労働条件について
(6) こばと保育園の保育士の労働条件について
このうち、(5)については別のニュースで報告します。また(6)については、こばと保育園が直営化後間もないという事情もあり、運営が落ち着いた時点で使用者側から情報提供を行うことになりましたのでこのニュースでは割愛します。以下、その他の4項目についての交渉結果について報告します。

1.パートタイム職員の期末手当支給の問題について
 回答は「多様な経費で雇用されていて期末手当の支給の困難な職があり一律に支給基準を設定できない。財源的にも厳しい状況であり期末手当支給はできない。ただし、人事院の指針が出されたこともあり、他大学の状況も見ながら今後検討する。」というものでした。また前回の団交で組合側が指摘した間接経費からの期末手当支給については「制度的にできない」と回答しました。
 この回答に対し組合側の批判の論点は
(a) 多様な経費を理由にすることは、出せないところがあるから全員に出さないと言っているに等しく、大学としての責任放棄だ。組合は大学としての責任ある対応を求めている。
(b) 間接経費を報奨金に当てることはできるのに、パートタイム職員の期末手当に当てられないというのが学術振興会等の判断であるのなら、組合としても対応を考える。
(c) 運営費交付金は減らされているが間接経費は増加している。全体の経費の運用の中でパートタイム職員の人件費確保を図るべきだ。
というものです。議論は平行線でしたが、今後の検討の必要性では合意しており、組合として粘り強く取り組みを続けます。

2.非常勤講師の通勤手当支給の問題について
 回答は「通勤手当を支給する方向で制度設計を行う。できるだけ早くしたいが今年度中は困難だ」というものでした。非常勤講師に旅費規程を準用し、市内から通う場合には手当を出さないが、遠方からなら交通費のほか日当まで出すという矛盾はなくなります。なお、集中講義など宿泊を伴うような場合には従来どおり旅費規程を適用されます。

3.有期雇用職員の契約更新回数の上限撤廃について
 まず、病院の医療技術職員を対象とする特定有期雇用職員について「附属病院の運営に支障をきたす重要な問題であり、見直しについて今年度中には結論を得たい」と回答しました。組合は「雇い止めが再来年3月末にせまっており、職員の不安も増大している。結論を遅らせることは優秀な職員の流出につながりかねない。迅速な対応を行うべきだ。」と主張しました。まだ明確な回答が得られたわけではありませんが、少しずつ明るい希望が見えてきたようです。
 次に保育士の問題については、「重大な問題であり鋭意検討している」という回答にとどまりました。組合は保育士が全員がパートタイム職員という現状について保育園運営上の重大な問題と指摘し、一部の正職員化を行う考えはないかと質しましたが、前向きな回答はありませんでした。
 最後に全般の有期雇用職員の契約更新の問題について、業務上の必然性のある場合を除き契約更新回数に制限をつけないよう要求しました。社会的に雇用不安が広がる中、大学が必然性のない雇い止めを行うことは、新聞報道で社会的批判を受けています。更新回数の上限を撤廃した大学もあることを指摘し使用者側の対応を求めました。理事は「我々も情報を集め検討している」と述べました。

4.旅費規程改正と就業規則の不利益変更の問題について
 改正の根拠として「会計検査院・文科省から会計規則を国に準拠するよう求められている」ことをあげました。また事前に組合に通知しなかったことについて「実費相当額である宿泊費の変更で不利益変更とは考えていなかった」と述べた上で「減額改正であることは間違いなく、今後教職員の不利益につながる就業規則変更については事前に組合に情報提供し理解を求める」と回答しました。
 組合は、「今後の就業規則の不利益変更について、事前に組合に内容の説明を行い協議を行う」ことが明確に合意されたのを受け、今回の旅費規程の変更についてはやむを得ない措置であると認めました。

附属病院の設備管理業務外注の問題
 団交の議題にはあげられていませんが、附属病院の設備管理業務の外注について組合側から情報提供を行いました。今回の入札で落札業者が変更され、金額が大幅に安くなったが、外注の職員はハローワークで6ヶ月の期間で募集されており、病院の設備管理の経験をまったく持たない人が入っている。業務には医療ガス設備や6万6千ボルトの特別高圧受電設備の維持管理も含まれており、単に資格を持っていれば対応できるというものではないと訴えました。使用者側からは基本的に外注業務の仕様書をどのように書くかが問題、それを書くときにあいまいな部分があったのではないかとの意見が出されました。医療事故につながりかねない重大な問題であり、きちんとした対応を行うよう求めました。

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