2009.6.10 |
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−どうして病院事務部長が− |
熊本大学の教職員の労働条件は、就業規則によって定められています。1 その第2条に職員の区分として
(1)教育職員(2)一般職員(3)医療職員(4)有期雇用職員(5)特定有期雇用職員の7つがあげられています。第3条には本則が(1)(2)(3)の職員に適用されること、(4)(5)(6)の職員のためにはそれぞれの就業規則が別に作られることを規定しています。例えばティーチングアシスタント(TA)も有期雇用職員に位置づけられており、その時間給は有期雇用職員就業規則に規定されています。しかし(7)の個別契約職員については「個別の契約書によって定める」とされているだけで労働条件の詳細な規定はまったく定められていません。 今回のニュースでは個別契約職員の問題を扱います。背景には附属病院事務部長が定年退職後も個別契約職員として事務部長の職に留まっていることについて、職員から組合に投書が寄せられたことがあります。熊本大学の教職員のあり方全体に関わりかねない問題を孕んでいること、投書に見られるように職員の関心も低くないと思われることからニュースで取り上げることにしました。ご意見を組合にお寄せください。 個別契約職員とは 熊本大学には様々な業務があり、それをすべて規則で定めることは困難です。そのような場合に個別に契約を結ぶということは認められることだと思います。具体的には寄附講座の教員や、時限的なプロジェクトに退職教員を雇用する場合に適用されています。 ただし、個別契約職員は極めて例外的な制度に留めるべきで、無条件に適用範囲を広げることは許されません。労働条件は就業規則として定めるという労基法上の義務の形骸化につながりかねないからです。例えば教授を雇うときに、就業規則と異なる条件を適用するために個別契約を結ぶというのは認められません。優秀なので他の教員より良い賃金を出したいという場合もあるかもしれませんが、就業規則を上回る労働条件を設定することは、就業規則違反とはなりません。 個別契約職員を受け入れるための条件 どういう職が個別契約の対象になるのかは何も定められていません。ただし、例外的な制度にするためにもいくつかの原則は必要です。組合は、第一に職務がごく一部の領域に限定されていること、第二にその職務が時限的であることの2点を基本にすべきではないかと考えます。例えば、寄附講座は外部からの寄付に基づいて時限的に設置されるものであり、寄附講座教員はその寄附講座の運営のみ関わると考えられます。時限的なプロジェクトに携わる退職教員の場合も同様です。 個別契約職員の具体的な労働条件について何らかの基準を設けることは困難でしょう。その業務の裏づけとなる予算規模や、具体的業務内容によって個別に判断すべきことと考えます。 附属病院事務部長の場合 現在の附属病院事務部長は、2008年3月末で熊本大学を定年退職しています。そしてその後は個別契約職員として事務部長の職を継続しています。これについて使用者側に確認したところ、「病院経営のコンサルタントとして、他に変わる人がいないので定年退職後も個別契約職員の扱いで事務部長として来てもらっている」との説明を受けました。 さて、経営コンサルタントとして個別契約を結んだのであれば理解できます。権限も病院経営上の事項について意見を述べるにとどまるとも考えられます。しかしこの場合の職は事務部長です。決済事項は多岐にわたると考えられ、先に述べた個別契約の条件に相反するものです。 もう一つ、個別契約職員はどのような議を経て受け入れたのかという疑問です。寄附講座教員の場合は、寄附講座を受け入れた部局等が○○氏を寄附講座教員として個別契約で受け入れたいと発議するはずです。病院の事務部長を個別契約職員として受け入れることになった経緯について、学長は明確な説明を行う責任があると考えます。 事務職員の不満 この件については、職員の方から数回にわたって疑問の声が寄せられています。一般職員の場合は、定年後は再雇用職員の位置づけに変わり、責任も小さくなる代わりに賃金も減らされます。何故、事務部長だけが退職後も事務部長としてとどまっていられるのか、寄せられた意見はこの疑問につきます。このような不満を放置することは職員の士気に関わります。学長は職員の不満を解消するための行動を速やかにとるべきです。 1 実際に就業規則が規定するのは労働条件の最低基準です。就業規則はそこに定める基準以上の労働条件を否定しません。 |