特定有期雇用職員の雇用期限「見直し案」の再検討を求める特別決議
現在、熊本大学附属病院では、看護師・医療技術職員834名(看護師:696名、医療技術職員:138名)のうち335名にものぼる方々が特定有期雇用職員として勤務し(看護師:278名、医療技術職員:57名)、高度先進医療と教育研究をささえている(人員数は2009年7月1日時点)。これは、国家公務員時代からの非正規職員の雇用期限制度の継続や、7:1看護基準の導入にともなう看護師・医療技術職員の大幅増員などの要因によって生じたものである。しかし、特定有期雇用職員の方々は、正職員と同等の職務を果たしているにもかかわらず、1年ごとの雇用契約更新4回まで(最長の雇用期限5年)という厳しい雇用条件におかれたままである。その結果、附属病院は、多くの優秀な看護師・医療技術職員が他の医療機関に流出し、逆に職員を募集しても十分に集まらないといった事態に陥っている。これは、病院経営上はもちろんのこと、地域の高度先進医療という附属病院本来の社会的使命を果たしてゆくことさえも危ぶまれる深刻な事態である。さらに、現行の特定有期雇用職員制度のままでは、2011年3月に40名を超える特定有期雇用職員を雇い止めする事態をむかえざるを得ない。
我われ熊本大学教職員組合は、これまでも特定有期雇用職員の正職員化を要求してきたが、事態の緊急性に鑑み、2008年度の団体交渉では、正職員化とあわせて、特定有期雇用職員の雇用期限撤廃を要求し、使用者から2009年度中に特定有期雇用職員の待遇改善を検討するとの確約をとりつけた。
これをうけて、熊本大学使用者は、総合企画会議のもとに「人事制度改革検討WG」を設置し、この7月9日には特定有期雇用職員の雇用期限の見直し案(以下、「見直し案」と略す)をまとめるに至っている。迅速に「見直し案」を取りまとめた熊本大学使用者の姿勢は、課題の緊急性を認め、かつ組合からの要求に真摯に対応したものであると我われは評価する。しかし、「見直し案」の内容は、5年ごとに雇用期限を延長することを可能にするものであるとはいえ、5年の雇用期限は維持されており、かつ延長した場合も毎年評価を受けて延長の可否を決めるというものである。これは、実質上、毎年評価を受けて1年ずつ更新するものと変わらないものであり、人材確保策として有効であるか甚だ疑問視せざるを得ない。
熊本大学教職員組合は、特定有期雇用職員の方々を対象として「見直し案」に関する説明会を開催する(7月10日医学部支部主催)とともに、緊急アンケートを実施した。アンケートは、きわめて短期間であったにもかかわらず、63%を越える多くの方々から回答いただいた。その結果、「見直し案」の条件で5年後も特定有期雇用職員として再契約すると答えた方は、わずか18%にとどまっており、「見直し案」の内容は当事者の感覚からするととても人材確保策に値するものではなく、かつ当事者の要望に応えたものではないことが明らかとなった。また、アンケートでは、多くの方々が正職員化、もしくは正職員になれる時期の提示を求めていることが改めて確認された。
7月7日開催の「学長あいさつ」において、組合は附属病院と当事者の方々の意向をふまえて「見直し」を最終決定することを学長はじめ使用者と確認した。熊本大学使用者は、今回の特定有期雇用職員の方々へのアンケートの結果を重く受けとめるべきである。また、組合ニュース等で繰り返し主張してきたように、法人化後は正職員化と雇用期限の撤廃を阻む制度的障碍はすべて解消されており、それを実現するか否かは大学の自主的努力いかんにかかっている。
我われ熊本大学教職員組合は、熊本大学使用者に対し、特定有期雇用職員の方々へのアンケートの結果をふまえて「見直し案」を再検討することを要望するとともに、特定有期雇用職員の方々の正職員化にむけてひきつづき運動してゆくことをここに宣言する。
以上、決議する。
2009年7月30日 熊本大学教職員組合2009年度定期大会
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