2010.4.13 |
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年次休暇・休日労働・時間外労働の 扱いが変更されました —— 4月12日要求書を提出しました —— |
この3月31日、労務安全課より半日単位の年休,時間単位の年休の扱いに関する通知が職員のみなさまの手許に届いていることと思います。これは、労基法改正法(2008年12月12日公布)が2010年4月1日から施行されることを受けての措置です。また、この法律では月60時間を越える時間外労働について法定割増賃金率が50%引き上げられており、時間外労働の多い職員は超過勤務手当が増額されます。 今回のニュースでは労基法改正にともなう就業規則の変更等について解説します。また、組合は改正の趣旨をより活かす形での要求書を4月12日提出しましたので、その内容についても紹介します。 なお、看護師の方のように変形労働時間制を適用されている職場では事情が異なります。またパート職員など勤務時間が短時間の職員については必要な読み替えを行う必要があります。疑問な点は組合事務所までお尋ねください。 年休取得の方法について 時間単位の年休取得に制限は付くのか? 国家公務員の場合、年休は時間単位で取得できます。これに対し民間では時間単位の年休はありませんでした。労基法において年休取得は原則として1日単位とされ、例外的に半日単位が認められていました。この背景には年休は本来まとまった形で取得すべきものとの認識があります。 一方、地方公務員(労基法の年休の規定は地方公務員には適用されています)については時間単位の年休を認める自治体が数多くありました。これは,国家公務員との均衡を考慮しての措置であり、時間単位にすることは労基法の基準よりも良い労働条件(年休が取得しやすくなる)なので違法ではないとの判断によるものです。熊本大学でもこのような判断で時間単位の年休を認めてきました。労基署もこれを労基法違反として是正を求めることはありませんでした。 今回、労基法の改正で,過半数代表者との労使協定の締結を条件として、時間単位の年休を年5日の範囲内で認めることになりました。これにより今後も時間単位の年休を制度化するためには新たに労使協定を締結する必要が生じました。その場合、年5日以内という法に即した形にする必要があります。結果的に熊本大学のような従来から時間単位の年休取得を認めてきた職場では、時間単位の年休に年5日以内という制限がつくことになったのです。 実質的に時間単位の年休取得に制限をつけないような運用を求める 5日以内ということは所定労働時間が7時間45分なので39時間以内ということになります。2時間の年休なら19回は使えるわけですから、影響を受ける人は少ないかもしれません。それでも実質的に年休取得が困難な状況もありえます。労使協定締結のための協議において労働者側から次の2点を提案し、いずれも認められました.
時間外労働の割増賃金率について 今回の労基法改正の主なポイントは次の2点です。
法定休日が日曜日と定められました 労基法の原則による休日は週1日です。これを法定休日といいます。労基法上は法定休日の労働が休日労働となり35%の割増賃金の対象になります。熊本大学では土曜・日曜・祝日のすべての労働を一律に休日労働として扱っており35%割増賃金の対象にしています。これは労基法の基準よりも有利な扱いです。 ただし、休日労働時間は時間外労働時間に含まれません。従来どおりの方法のままでは、休日労働時間が増え結果的に50%割増賃金の対象となる時間が減ってしまう可能性があります。そこで法定休日は日曜日とすることが定められたのです。土曜日と祝日の勤務は労基法上は休日労働ではなく、時間外労働時間に算入されることになります。ただし就業規則上は休日労働であり従来どおり35%の割増賃金が支給されます。 45時間以上の割増賃金率を上げるべきである 労基法は1ヶ月の時間外労働の限度を45時間としています。しかし、労使協定に特別条項を置けば45時間を越える時間外労働も認めるという抜け道も用意されています。結果的に月100時間の残業といった長時間労働が放置され、大きな社会的問題になっています。 今回の改正は割増賃金率を上げることによって、人件費の面から長時間労働の縮減を図ろうとするものです。ですから月45時間を超える時間外労働の割増賃金率をどうするかは、長時間労働縮減に対する大学の姿勢を表すものです。残念ながら、労使協定の協議における使用者側の提案は、「努力義務なので25%のままとする」というものでした。しかし、熊大における特別条項の運用には厚生労働省の限度基準に矛盾する実態があります。長時間労働縮減の観点からも、組合は35%とするよう要求しています。 三交替勤務者の時間外労働について 看護師の職場では三交替(一部では二交替)の勤務体制をとっていますが、日勤と深夜、準夜と日勤が続くときは勤務間隔が7時間になってしまいます。そもそもこのような場合に時間外労働を命じることは許されませんが、現実に時間外労働せざるを得ない場合も多く、労使協定では勤務間隔を5時間以上確保するとしています。しかし、現実には5時間の確保すらできない場合もあります。この短時間の間に自宅に帰って食事をしたり入浴したりするのですから、その厳しさは大変なものと思われます。 組合は,時間外労働の縮減を図り、少なくとも5時間の勤務間隔を確保する立場から、その部分の時間外労働の割増賃金率を35%とするよう要求しています。
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