赤煉瓦No.15で、定員外職員の賃金カットの問題を取り上げました。その後、全国から送られてきた激励文を赤煉瓦№18〜20で紹介しました。今回は、特に予算の配分方法との絡みを述べるとともに、医学部支部での取り組みの状況について報告します。
【定員外職員に広がる雇用不安】
今年から予算の仕組みが変わり、教官数・学生数を基準に配分される校費は文系非実験修士講座の単価で統一されました。そして、残りを大学分として一括して配分されることになりました。
大学分については積算の基準はありません。今年度に限り文部省は、大学分を従来の方式による積算額との不足額として配分しましたが、来年度以降は今年設置された第三者評価機関の評価をもとに傾斜配分されるようになるのではないかといわれています。熊大の今年度の予算では大学分は全体の62.5%にのぼりますが、この額が来年どうなるのかまったくわからないのです。
当然、各学部・学科に配分される予算も見通しはありません。現在のように「定員外職員の人件費は、雇用している学部・学科の予算でまかなう」というやり方では、当然人件費を払いきれないところが出てきます。それを見越して、定員外職員に退職を促すような動きも現れています。定員外職員の雇用不安は全国的に広がっています。
【雇用不安の解消は大学の責任】
しかし、今回の予算の仕組みの変更は、予算の配分の責任を大学という組織に負わせようとするものです。配分の観点は、教育・研究・医療の充実にあることが第一でしょうが、雇用者としての責任も回避することはできません。大学が、講座や学科が定員外職員を雇用しているという実態を黙認したまま、その人件費を措置しないとすれば、そのような責任を放棄したものと言わざるを得ません。
組合は、定員外職員を雇用者としての自覚も無しに安易に雇おうとする姿勢を決して許すものではありません。一方、すでに雇用されている職員に対してはその待遇改善に最大限の努力を払うべきだと考えています。人件費をどう確保するのか、これは全学的な検討課題です。また、定員削減が進む中、定員外職員も貴重な熊本大学職員です。来年度以降の予算をどのように配分するかの検討の際には、人件費の確保も視野に入れながら検討することを求めます。
【医学部長に要望書を提出】
10月20日、熊本大学教職員組合は、現状での雇用責任者である医学部長に「日々雇用職員の給与回復に関する要望書」を届けました。
2000年10月20日
熊本大学医学部長
川村 祥介 殿
熊本大学教職員組合
執行委員長 丸山 繁
医学部支部長 原 暁生
日々雇用職員の給与回復に関する要望書
本年四月、医学部の講座で働く二名の日々雇用職員の給与が引き下げられましたが、この事を私達は到底受け入れることができません。
この二名は、教育・研究の場において必要不可欠な存在であり、本来定員化されるべきであるのに、長期にわたり定員外職員という立場に立たされてきた人達です。文部省も日々雇用職員抜きでは現場がやっていけない状況を踏まえ、1980年以前に採用された日々雇用職員の給与は経験年数とともに上がることを認めています。
ところが、今回、講座の校費が足りないという理由だけで給与が引き下げられました。これらの職員は医学部で任用しているにもかかわらず、当事者の講座だけの責任とし、そのしわ寄せを弱い立場の職員に押し付けるというのは、学部を運営する立場にある長として、あまりに無責任ではないでしょうか。この事を学部全体の問題としてとらえ、一日も早く給与の原状回復をして頂くよう要望します。
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