No.39
2001.3.5
熊本大学教職員組合
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発生研センター長・医学部長と任期制について懇談・交渉を行ないました

 昨年の2月24日の評議会で突如「熊本大学発生医学研究センター教員の任期制に関する規則(案)」が承認され、4月1日から本学でも教員の任期制が導入されました。(詳細は組合ニュース赤煉瓦2000.2.23No37参照)組合では、この導入手続きの過程で医学部教授会での議、評議会での検討を欠いたまま即決された事に関し、昨年5月の学長交渉で問題提起をしました。
 その後、当該部局の発生医学研究センター長及び医学部長に対し、導入手続きや任期付き教員の勤務条件等に関する懇談・交渉を申し入れました。その結果、昨年12月20日に当局側から川村医学部長、須田センター長及び事務担当者が出席し、組合との話し合いが行われました。以下は今回の懇談・交渉の要旨です。(懇談・交渉の全議事録は2000年度活動報告集に掲載予定)

1. 発生医学研究センターにおける任期制導入の手続きについて
組合: 導入に関して順番がおかしい。本来、全学の任期に関する規則があり、それに沿って各部局の任期制に関する規則がつくられるべきで、なおかつ今回のケースは医学部教授会の議を経て決定すべき。その他、再任制や評価についての細則を採用者に対し、知らせないまま任期付きの雇用が始まった。
当局: 全学の規則のもとに任期制を導入するのが筋だ。今回の場合はまず発生研の規則の中に任期制を入れて、あとから全学の規則と整合性をとったというのが事実だ。発生研の規則は昨年末から今年の2月までの間につくった。文部省へのタイムリミットがあった。1年待つことがきつかった。
組合: 前身の遺伝研はまだ1年残っていたが、どうして急いで発生研へ移行する必要があったのか。同じ分野で任期付きとそうでない教官がいる。任期付きは断ることが可能か、導入の際に勤務条件は職員組合との話合いでと国会答弁にあるが、導入にあたって本人達に説明は充分されたのか。
当局: 発生医学などはミレニアムプロジェクトであり今年しかなかった。もし1年後だったら通らなかっただろう。遺伝研は8年で使命を終えた。外部評価でもそう評価された。任期は個人なのか職に付けるのか医学部でも議論になった。本来は人でなくポジションで任期制をとるかどうか決めるべきだ。今回は既にいる人を任期制にするという点で特殊であった。だから同意を求め強制すべきでないのは当然。説明時に同意しなければ辞めてもらうなどとも言っていない。学部長室で当時の学部長・遺伝研施設長・事務長等で説明した。その後、任期付きについて合意頂けるか説明し書類を書いてもらった。強制するような事はしていなし、その前に遺伝研内部でも説明がされている。

発生医学研究センターの任期付き教員の勤務条件について

(1)再任審査の細則について

組合: 本来は細則まで事前に作るべき。時間の都合で間に合わなかったということだが、今後どのように対処するのか。再任条件・審査委員等を含め審査はどのように行うのか。再任されなかった場合、不服申立ても可能か。細則決定の際には発生研のメンバーで議論できる場を設けてほしい。
当局: 先月の評議会で細則は医学部の教授会で検討することになった。現在、担当の評議員が素案を作成中。来月にはできるだろう。その後、教授会で検討しセンターの教官の意見も聞く。5年の任期満了直前では無理があるので、4年目になる前にすべき。業績・論文の数・プロジェクトの進展状況・院生への指導等の教育業績が評価の対象になるだろうが、抽象的になるかも。誰がみても"この細則なら良いだろう"というようなものにすべきで、不服申立ては当然だ。4月に外部評価学部委員会が来た時も不服申立てを行った実績がある。

(2)異動先のケアについて
組合: 現状では異動先のケアが必要であると考えられるが、そのやり方についてどう考えているか。
当局: 全国で同じ任期制をとっていればいいのだが、今の日本では任期制で再任されなかったら落伍者としてみられる。個人の能力の問題でなく組織や、プロジェクトの問題と考えるべき。そこの説明をはっきりさせなければならない。熊大の医学部でも能力が十分出せないまま現状に満足している人がいる。こういう人も任期制があれば、それがきっかけで自分の能力を引き出せるところへ行く事ができる。実際にはセンターから教育へ移るのは格下げというイメージがある。廻りの考え方が問題。

(3)助手の研究環境の整備について
組合: 学部の助手は雑用が多いが、研究に専念できる環境は出来ているのか。
当局: 熊大では他大学がうらやましがるほど好きな事をやらせている。教授が雑用を押しつけるような事はない。費用や設備の面でも恵まれている。

(4)「若手教員研究支援経費」「教員流動促進経費」について
組合: 若手教員研究支援経費(3年以上の任期の付いた40歳未満の助手に対し、採用後2年間、年間40〜60万円)や教員流動促進経費(民間から教授・助教授とし採用された場合に配分)が、きちんと個人に配分されているか。
当局: おっしゃることは判るがそれには反論がある。そのお金が個人に支給されているとはいえ、それでは助手がそのお金と科研費など自分で取ってきた研究費だけで研究できるもにではない。生命科学では助手一人で研究費を1000万円以上使うこともざらである。助手も個人で研究しているのであるが、周りのサポートも受けながら研究活動をしているいう独立の過程にある存在。だから、その経費を中央でプールして配分することはおかしな事ではない。

(5)女性教員の配慮について
組合: 女性教員には出産・育児の期間が生じた場合、評価・勤務条件で配慮すべきでは。
当局: 業績さえ挙げていれば8時間しか研究しなくても構わない。こういう点では女性にとって任期制の良いところだ。産休のほかに、例えば留学した場合には、その分、任期を延長するなど同じような問題がある。今後、検討する必要がある


 

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