No.64
2001.6.8
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@mx7.tiki.ne.jp

 
 
国立大学協会に対し,「法人化」案の再検討を求める!

6月12・13日の国大協総会に注目を!!


 明日・明後日開催の国立大学協会総会では,さる5月21日の設置形態検討特別委員会で確認された「国立大学法人化についての基本的考え方」(以下,「基本的考え方」と略)と「国立大学法人化の1つのありうる枠組」(以下,「枠組」と略)が報告される予定です。これは,国立大学の設置形態を変更する=国立大学を法人化する場合の条件と法人の制度内容について,国立大学側の構想を示すものであり,今年夏に予定されている文部省調査検討会議の「中間まとめ」に大きな影響を与えるものと予想されます。

重大な問題をはらむ法人の制度内容

 この「基本的考え方」と「枠組」,本学の教職員の皆さんは御覧になられたでしょうか。すでに教授会構成員に配布された部局もありますが,まだ配布されていない部局の責任者は速やかに配布すべきです。組合のHPに掲載していますので、活用してください。
 法人化する場合の条件を示した「基本的考え方」はともかく,法人化する場合の制度内容を示した「枠組」の構想は,主に以下のような重大な問題点を孕んでいます。
  @ 大学の自主性・自律性を大きく損なう恐れがある。
  運営諮問会議の改編,評議会へ学外の有識者を入れること,学長選挙に学外者の意見を反映されることが提案されています。また,大学の中期目標・中期計画は,文部科学大臣の審査・認可の下におかれています。
  A 予算配分は評価結果と直結した方法のみが構想されている。
  基礎的教育研究分野の存在を保障する基準的予算の配分方法は具体的に構想されていません。
B 教職員の身分を極めて不安定なものにすること。
評価システムについては全く不明なまま,成績・業績の評価を反映した教職員の給与体系を導入すること,また教職員の身分を非公務員型にする可能性も示されています。
C 教員任期制の積極的導入を謳っていること。
各大学のレヴェルを越えて任期制の導入を提唱するのは,「大学教員任期制法」の趣旨,さらに憲法にも反しています。

6月8日,江口学長・国大協長へ再検討を要望

 上記の問題点は,国大協も反対する独立行政法人通則法をそのまま適用した法人化の場合に危惧される問題点と共通しており,また「基本的考え方」の主張とも明らかに矛盾しています。我われ熊本大学教職員組合は,こうした「枠組」が示す法人化の構想をけっして認めることはできません。
 我われは,先週の6月8日,国大協の特別委員会,文部省調査検討会議のメンバーでもある本学の江口学長と懇談し,問題点を払拭するまで審議を継続して「枠組」の構想を再検討するよう,国大協総会で求めることを要望しました(要望の具体的内容は下の要望書の通りです)。同時に,国立大学協会長・長尾真氏に同趣旨の要望書を送付しました。 


2001年6月8日


熊本大学長 江口 吾朗 殿

熊本大学教職員組合
執行委員長 丸山 繁


国立大学協会第108回総会にあたって(要望)


 6月12日・13日開催の国立大学協会第108回総会では,さる5月21日の設置形態検討特別委員会で確認された「国立大学法人化についての基本的考え方」(以下,「基本的考え方」と略)と「国立大学法人化の1つのありうる枠組」(以下,「枠組」と略)が報告されると伝えられています。
 我われ熊本大学教職員組合は,「基本的考え方」について,国立大学の設置形態を変更しなければならない根拠が依然として明らかではないという問題点があるものの,設置形態変更の条件として,@高等教育に対する国の財政的責任は堅持・拡大されなければならないこと,A大学の自主性・自律性を拡大するものでなければならないこと,B高等教育・学術研究の質の向上と発展をもたらすとともに,社会に対する一層の説明責任を果たさなければならないこと,以上の三点を提示したことは大学人の見識を発揮したものであると受け止めています。
 しかし,「枠組」で示された法人化の具体的制度には重大な問題点があると考えます。その主要な点は次の通りです。
 第一に,大学の自主性・自律性が著しく損なわれる恐れがあることです。これは,大学の管理・運営に学外有識者が参加すること(運営諮問会議の改編,評議会へ学外の有識者を入れること,学長選挙に外部者の意見を反映させることまで可能性として提案されています),大学の中期目標・中期計画が主務省(文部科学大臣)の審査・認可の下におかれることに如実に表れています。社会の幅広い意見を聞いた上での大学運営や社会に対する説明責任を果たす必要があるとしても,学外者を大学の管理・運営に従事させる必要はないはずです。また,大学の目標・計画を政府の認可の対象とすることは他国にも例を見ないものであり,大学に対する政府の関与は,協議・助言のレヴェルに止まるべきです。
 第二に,評価結果と直結した予算配分の方法が構想されるのみで,基礎的教育研究分野の存在を保障する予算配分の方法については具体的に構想されていないことです。法人化された場合には,新産業の創出とは直結しない基礎的教育研究分野が軽視されていく危険性が高いことが数多く指摘されています。求められるのは,評価と直結した予算配分ではなく,予算配分とは切り離した適切な大学評価のあり方であり,また基礎的教育研究分野を保障する基準的予算の確立こそです。
 第三に,教職員の身分を極めて不安定なものにする恐れがあることです。成績・業績の評価を反映した教職員の給与体系が構想されており,また教職員の身分を非公務員型とする可能性も示されています。しかし,大学の教職員の職務は多様であり,それをどのような基準で評価するのか,評価システムについては全く不明なままです。大学での職務を円滑に進めていくには,いたずらに教職員を「競争原理」の下におくのではなく,多様な職務の適切な評価システムの確立と身分の安定的保障こそが不可欠です。
 第四に,教員の任期制を積極的に導入することを謳っていることです。「大学教員任期制法」は,導入するかどうかを各大学の自主的判断に委ねた「選択的任期制」であり,また各教育研究分野の専門性の必要に応じて任期制の導入を認めたものです。各大学のレヴェルを越えて任期制の積極的導入を謳うのは,「大学教員任期制法」の趣旨に明らかに反しており,また憲法23条に保障された学問の自由,大学の自治にも反しています。
 以上,挙げた問題点は,独立行政法人通則法をそのまま国立大学に適用した法人化の場合に危惧されていた問題点と共通するものであり,「基本的考え方」で示された設置形態変更の条件とも大きくかけ離れています。
 我われ熊本大学教職員組合は,このように重大な問題点をもった「枠組」を容認することはできません。仮に「枠組」が国立大学協会で承認されたならば,今年の夏に予定されている文部科学省調査検討会議の「中間まとめ」に大きな影響を与えるものと予想されます。我われは,「枠組」の構想を見直し,上記の問題点を払拭するまで十分に審議していく必要があると考えます。
 つきましては,6月12・13日開催の国立大学協会第108回総会において,「枠組」を承認するのではなく,ひきつづき審議を継続し,「枠組」の構想を再検討することを求めてくださいますようお願い申し上げます。



 

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