2003.1.17 |
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が明らかに |
--許されぬ文科省の隠蔽行為!?--
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1月31日 | 国大協法人化特別委員会 |
2月10日 | 国立大学長会議 |
2月20日 | 国大協法人化特別委員会 |
2月末 | 法案閣議決定 |
4月以降 | 法案審議 |
平成14年12月25日 I 総則
(役員)
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独立行政法人化反対首都圏ネットワーク事務局 「国立大学法人法案の即時公開を求める」(2003年1月16日)より抜粋 「国立大学法人法案の概要(骨子素案)」の本質 上記のように「国立大学法人法案の概要(骨子素案)」(以下、「概要」)が示された。この「概要」に基づいて既に法案が 完成されていると伝えられている。法案の内容がいかなるものになるかは、言うまでもなく「法人化」そのものの是非に直結する。昨年3月の調査検討会議「最終報告」はひとつの審議機関の答申にすぎなかったが、法案は、それによって国立大学の「法人化」の具体的な内容が確定されると言う意味で、決定的に重要な意味をもっている。その意味で、法案を可及的速やかに公開 させ、それを正確に理解するとともに、これを根本的に批判することが、悪しき「法人化」—われわれは当初から今次の「法人化」構想自体を悪しきものとして批判してきた—を阻止するうえで重要な課題になる。不当なことに現段階で法案が公開されていないので、とり急ぎ「概要」の分析を行う。1.「国立大学法人」による「国立大学」の設置 「概要」のおそらく最も重要な特徴は、「国立大学法人」を観念上「国立大学」から分離し、法人組織と大学組織の二重性を 認めた点にある。「概要」の「I 総則」によれば、「国立大学法人とは、国立大学を設置することを目的として、この法律の 定めるところにより設立される法人をいう。」と規定される。これは、私立学校法第3条の規定(「この法律において「学校法人」とは、私立学校の設立を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう」)と文言形式はほとんど一致する。つまり、「概要」においては、「国立大学法人」は「国立大学」の設置者であり、「国立大学」は当該法人によって設置 される大学となるのである。さらに言えば、法人化論議のはじめから議論となった直接方式—間接方式、設置者を国とするか否か、という問題は、いくら文科省幹部が「直接方式で決着」と強弁したとしても、「概要」において、少なくとも外形的には、 間接方式、すなわち法人を設置者とする方式に帰着したのである。 これは、「最終報告」が明確に記した「学校教育法上は国を設置者とする」(最終報告12〜13頁)という命題にも、また 国大協法人化特別委員会法制グループの意見にも反するものと言わなければならない。この間の内閣法制局筋からのクレームとして伝えられてきた設置形態問題で、文部科学省は譲歩を強いられたと言えようか。 もっとも、国立大学法人の設置する大学は、「国立大学」である。「概要」において学校教育法第2条の修正として記載されているように、国立大学法人は「国」に含まれるものとされ、したがって国立大学法人の設置する大学は、学校教育法上は、国が設置する大学(学教法2条2項)、つまり国立大学とみなされるのである。 国を直接の設置主体とする場合と、国に含まれる国立大学法人が設置主体となる場合でどのような具体的な差異が生じるか、 慎重に検討する必要があるが、最も重要な問題は、大学の管理運営が「大学」の組織によってではなく、「法人」の組織によってなされることである。 2.大学の組織と法人の組織 調査検討会議の「最終報告」は、「『大学』としての運営組織と別に『法人』としての固有の組織は設けない」(14頁)と 述べていた。国立大学法人と国立大学の組織は一体のものとして観念されていたと言ってよいであろう。いわば、直接方式の論 理的帰結である。しかし、「概要」においては、考え方が逆転している。「概要」の「II 組織及び業務」以下において「国立大学」という言葉が使われているのは評議会に関する17項、19項の2ヶ所にすぎない。その他はすべて「国立大学法人」の 組織・業務として規定されているのである。「概要」のめざす法案は、大学の「経営」組織としての「法人」の組織と権限を明確にすることによって、「大学」つまり研究 教育の組織の権限を極小化する可能性をもっていると言いうる。 そこで問題は、「法人」の組織がどのように組織されるかということである。「法人」もまた現在の大学における管理運営組 織のように教員をはじめとする大学構成員で構成されるなら、大きな変化は生じないとも言いうるからである。 結論から言えば、「最終報告」と同様、あるいはそれ以上に、学外者の関与を強めると同時に、学外者の参加する役員会、経営協議会(「最終報告」では運営協議会という名称であった)の権限を強化することによって、大学構成員の代表者で構成する評議会の権限を弱めること、教学に対する経営の優位を確保することに、「概要」の主眼がある。 ちなみにこれに関連して「最終報告」から変化した点を摘記しておこう。 (1)前述の「経営協議会」のほか「理事」、「学長選考会議」などの用語の変更が見られる。 (2)運営組織の構成について、学長選考会議の構成(第9項1)では、何と学長選考に現職の学長を含めている!)、経営 協議会の学外委員を「2分の1を超えるもの」(第14項)としたこと、経営協議会、評議会に「学長が指名する役員、職員」を加えたこと、などが挙げられる。執行部の権限が強化されるとともに、学長選考会議や経営協議会を通じた学外者の関与を強化するものになっている。 (3)経営協議会の権限(第15項)に、「中期目標についての意見」(国立大学法人から文部科学大臣に提出する意見=原案の意)、「学生定員」が加えられたことが注目される。それは、評議会権限にある「教育研究組織」と密接な関連を有するからである。 (4)学長や役員の解任基準(第12項)に「業績悪化」が挿入されている。 3.中期目標等 「III 中期目標等」は、「最終報告」の枠組みと変わらない。文部科学大臣が国立大学法人の意見に「配慮しなければならない」とされているとはいえ、全体として国家統制的な仕組みが貫いていることは、すでにわれわれが批判してきたとおりである。 ただ、これと関連して、「国立大学法人」の基本的な性格が再び問題になりうる。「I 総則」において、「独立行政法人通則法に規定する独立行政法人ではな(い)」と「概要」は主張するが、「独立行政法人通則法の規定は必要に応じて準用」と書 かれているように、基本的な仕組みは独立行政法人通則法に依存したものになっている。 4.身分の継承 「V その他」の第28項で、国立大学職員の権利義務が国立大学法人に継承されるとされている。この一般的な文章から確 実なことを予測することはむずかしいが、ひとまずは身分の承継を法律に書き込むことで「法人化」への抵抗を和らげようという意図がうかがわれる。しかし、2点だけ指摘しておこう。 まず、身分の承継問題は、これを規定する具体的な文言が確定するまでは完結しないということである。選別的な継承の余地もこの文章だけでは排除されていない。もうひとつは、「非公務員化」に関する記述がいっさい存在しないことである。「非公務員化」がすでに確定した政策であるとすれば、不思議なことである。 |