No.3
2003.6.30
熊本大学教職員組合
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大混乱の法案審議!
暴言、居直り、ごまかしに終始した
26日文教科学委員会

16日ぶりの審議再開
  すでに中期計画・目標の策定指示にかかわる文科省の虚偽答弁による審議中断(6/10)については、前回の「赤煉瓦」でお伝えした。その後16日に理事懇談会は開かれたが、17日の委員会開催を主張した与党理事に対して「延長が提起されている以上、明日の審議には応じられない」と野党が反発し、17日の委員会再開も見送られた。その結果、法案の会期内成立の目論みは破綻することとなった。当初会期内に成立しなかった以上、本来ならこのまま法案は廃案となるべきである。しかしながら、「イラク特措法」成立をめざして24日に会期延長が強行されたことにより、参議院文教科学委員会の審議も26日に再開された。

行政権の濫用、居直る文科省
  16日ぶりに再開された参議院文教科学委員会では、冒頭、審議中断となった前回答弁に関する遠山文科大臣からの「訂正」と「謝罪」があった。しかしながら、遠山氏は、さまざま な準備について文科省の指示があったと大学関係者に受けとめられたことは遺憾であったとしながらも、それは、国大協の要請を受けて作成したもので、あくまで参考情報として依頼したものにすぎないと居直った。つまり文科省はただの「準備作業」と考えていたにもかかわらず、大学側が一方的に誤解をして作成作業に従事したというのである。また、「国会審議 を軽視し、大学に多大な負担を強いたことを反省の気持ちはあるのか」とただした林紀子氏 (共産)に対しても、遠山氏は「法案の成立以前から準備をするのは行政の責任として当然、とくに今回のような大幅な変更に際しては、大学の要望に応えて準備をしている」と開き直る始末であった。これは明らかに国会の立法権の侵害であり、行政権の濫用にほかならない。

暴言とごまかしの答弁
  今回もまた遠山氏の「暴言」で、審議が中断する場面があった。質疑のなかで櫻井充氏(民主)が「法人化で研究の自由が奪われる」と指摘すると、遠山氏は「これまで十分議論し、そういうことはないと再三お答えした」と強調、「(櫻井氏は)途中から、突然委員になったので(知らないのではないか)」とも発言した。これに対して大野つや子委員長が「不穏当な発言があった」と注意し、遠山氏は「取り消させていただく」と陳謝せざるを得なかった。
  さらに政府答弁の「ごまかし」も露わになった。櫻井氏は、前回の議論の確認として、総務省評価委員会が行なう評価の位置付けについて質問。田村行政評価局長は、総務省の評価とは文科省内評価委員会の結果を評価するいわば2次評価であると答弁した。それに対して櫻井氏は、総務省が作成した文書を読み上げ、総務省評価は、2次的な判断を行なうものではなく、中期目標期間の終了後、総務省みずからが直接に情報を集め判断を行なうものと記してある点、を指摘した。「ちがうじゃないですか。国会をなめているのか!」と追求する櫻井氏に対し、行政評価局長は、毎年度行なう評価は2次評価だが、中期目標・計画期間終了時には総務省が法人を直接評価し改廃を判断すると答弁せざるをえなかった。政府のごまかし答弁はみごとに打ち砕かれたが、同時に、「独立行政法人」に対するのと同様な経済効率を重視した総務省評価が各大学に行なわれるという法案の危険な側面が暴露された。

熊大のデータで政府のごまかしも明らかに
  林氏は、5月に国会の要請で文科省が行なった労働安全衛生法にかかわる必要経費の調査について、文科省の指示文書には、「1月末日のデータと符合するように調査をあげなさい」とあり、下線まで引っ張っていることを例に挙げ、現在のデータだと金額がはねあがってしまうのを懸念したからではないかと追及した。また熊本大学の事例をあげ、綿密な調査をもとに9億円と算出されているが、文科省は2億6000万円との見積額を発表していることを指摘、政府が国会に示した数字は「机上のものだ」と批判した。

  再開された国会審議においても、文科大臣や官僚は、居直り、暴言、ごまかしの答弁に終始した。このようにまともな答弁ができないこと自体、法案が具体化するに耐えない欠陥品であることの証左であろう。国会の立法権を侵害し、行政権を濫用してきた自らの振る舞いを何ら反省しない文科省の態度も許されるべきではない。今後、政府・与党は7月1日の審議を経て3日にも採決を強行する構えであると聞く。しかし国会の場で、法案とその準備過程における矛盾や問題点がここまで明確になった以上、廃案にすることこそが道理であろう。

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