2004.11.18 |
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赤煉瓦20号でお伝えしたように、11月9日に就業規則の改正案の説明がありました。その際の使用者案には、臨時職員に夏季休暇(有給)を与えることが明記してあります。これは8月5日に団体交渉を申し入れた際の要求の一つであり、使用者側の前向きな対応として歓迎します。 法人化後の労働条件は労使の協議によって決められます。組合の要求と使用者側の同意によって労働条件は改善します。「臨時職員」の夏季休暇の実現はその最初の具体例になりました。確かにささやかな内容ですが、熊本大学教職員組合にとって、労働組合移行後の組合運動における記念碑的な出来事として報告いたします。 なお、「臨時職員」の雇用確保と待遇改善に関する要求書に基づく団体交渉は、3ヶ月以上経過した今になっても実現していません。組合の要求にどう対応するかの検討に時間がかかっているとのことですが、対応は団交での議論の中で決めるべきことです。まず団交に応じ、議論の中で問題点をつめ、それによって対応を判断するのが本来のあり方です。ですから、使用者側の交渉委員には、要求事項に関する決定権を持つ者を含めることが必要なのです。もちろん一回の団交では結論が出せない場合もあります。その場合には検討課題を確認して、双方が持ち帰って検討し、再交渉を行えば良いはずです。一つの課題で数回の交渉を重ねることは当然のことです。 改めて早期の団交開催を要求します。 なぜ「臨時職員」の待遇改善を重視するのか それは現状の「臨時職員」の労働条件が「違法」だからです。公務員制度においては、労働条件は法令・人事院規則等で決められました。これは定員外職員についても同様です。大学は定員外職員の労働条件に責任を負っていなかったのです。一方、国は「必要な人員は定員として配置してあり、定員外職員を雇うのは臨時的な場合に限られる」という建前のもとに定員外職員の処遇を決めています。給与を毎年初任給基準に従って定めることなども、「臨時的」という建前のもとでは合理的かもしれません。 しかし、民間企業が同じことをしたら「違法」です。「臨時的」か否かは建前ではなく実質で判断されるためです。例えば、短期に雇用するアルバイト職員に正規職員と同等の休暇制度を用意しなくても違法にはなりません。しかし、長期に継続的に雇用されている非正規職員に、理由も無く休暇制度において大きな格差をつけたら、それは差別であり「違法」です。賃金面での違法性はより深刻です。正規職員の8割に満たない賃金が「違法」であることは、判例で確定していますが、初任給基準によって定めた賃金はそれをはるかに下回る場合があるからです。組合は法人化によって生じた違法状態を解消させることを、当面の最重要課題と位置づけています。なお、別のより深刻な違法状態が賃金不払い残業の問題です。これについても様々な機会を利用して粘り強く改善を求めているところです。 国は「臨時職員」の違法状態の解消のために別途予算を措置すべきである 定員外職員の労働条件は国が決めていたことです。国立大学におけるその雇用実態が「臨時的」とはかけ離れたものであることは、異動官職の事務局長・部長・課長を通じて文部科学省は正確に認識していたはずです。法人化後に生まれた「違法」状態の責任を国立大学にのみ押し付けることは、文部科学省の責任を放置することで許されません。私たちは全国の組合と連携しながら、文部科学省に必要な予算措置を求めていきます。
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