2005.3.8 |
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E-mail:ku-kyoso@mx7.tiki.ne.jp |
説明会が開されますので多くの方の参加を訴えます。 |
昨年12月から過半数代表者と大学との協議が続けられています。すでに、いくつかの就業規則等の制定・改正が行われており、その一部についてはホームページ(学内専用ページ)上に掲載されています。これから4月1日に向けて、なお残されている就業規則等の改正案、各種労使協定などについての協議が続けられる予定です。このニュースでは最大の懸案事項である裁量労働制労使協定について、内容面においてほぼ合意に至ったことを報告するとともに、その特徴を紹介します。大学教員の労働条件に直結する協定ですので、ご注目をお願いします。 さて、企画委員会教員人事専門委員会でまとめられた、裁量労働制労使協定書使用者案の問題点については赤煉瓦33号で紹介しました。協議では過半数代表者側から、詳細な問題点の指摘を行い、このままでは協定に同意できないとの立場を述べました。一方、教員の労働には裁量権の大幅な拡大が不可欠であるとの共通認識のもとに、労使協定の締結に向けて様々な具体的提案を行いました。組合としても対案を提示するなど、協議が建設的なものになるよう働きかけました。 このような労働者側の姿勢に対し、使用者側も自らの案にこだわる姿勢をみせず柔軟に応じました。そして2月28日の労使協議において、労働者側の意見をほぼ取り入れた形での協定案を示しました。裁量労働制の内容については同意可能な案ができあがりました。しかし、裁量労働制の適用に個別同意を求める件については最後まで合意できませんでした。 裁量労働制では裁量権の拡大の代償に、「みなし労働時間」が適用されることになります。過半数代表者が協定に調印することは教員の皆さんにこの「みなし労働時間」を押し付けることになります。過半数代表者は苦しい決断を迫られているのです。この事情から、過半数代表者の強い要望で行われるのが説明会です。説明会は裁量労働制に対する教員の意見を直接伺う唯一の機会です。ここで出された意見を参考に過半数代表者は最終的な対応を決めることになります。多くの皆さんの参加とご意見をお願いします。
【合意された労使協定書(案)の特徴】 【1】裁量労働制において時間外休日労働の割増賃金が支給される場合 大学教員の労働は時間配分も含めて自らの裁量で行われます。しかし、講義、会議等については時間配分の裁量はありません。協定案ではこのような業務を拘束的業務と位置付け *1日の拘束的業務が8時間を超えた場合には、その超えた時間について割増賃金を支給する。 *深夜および休日に拘束的業務を行った場合には割増賃金を支給する。 としました。何が拘束的業務か不明確な場合も多いでしょうが、時間配分の裁量権という観点から運用の中で個別に対応していく必要があります。なお、休日が振り替えられた場合には、休日労働にはなりませんが、事前に振替日を特定する必要があります。振替日を特定しないまま休日労働させた場合には、みなし労働時間は適用されず、実労働時間について割増賃金が支給されます。 【2】大学に出勤しない日の扱いについて 裁量労働制について「みなし労働時間」が適用されるのは勤務した日についてです。出勤しない場合には欠勤となり「みなし労働時間」は適用されません。しかし、調査などのために学外で仕事する人も多いはずです。自宅で論文を書くという人もいるでしょう。これについて協定案では「全日を事業場外で勤務することを事前に届け出た場合」には「みなし労働時間」を適用するとしています。届は研修届の形で出すことになりますが、できる限り柔軟に扱うよう求めています。 注意すべきは集中講義で熊本を離れる場合です。現在は熊大での勤務時間はその月の他の日に割り振っていますが、裁量労働制のため労働時間が1日8時間と決まってしまうのでそれは不可能です。この場合、その期間に応じた研修届を出してもらうことにより、熊本大学において8時間労働したものとみなされます。集中講義に出かけたときも、研究という熊本大学教員としての本来業務を行っているのですから。 【3】覚書に盛り込まれた事項 労使協定とあわせて、運用の際の覚書を取り交わすことにしています。そこでは、①職場の安全衛生確保②技術職員等への配慮③深夜・休日の施設利用④会議時間の縮減の4項目が盛り込まれます。深夜・休日の拘束的業務には割増賃金が支払われますが、他方で教育研究上の事情で自主的に大学施設を利用することも可能です。 【この労使協定の効果と今後の問題】 この協定による効果としては (1)教員の時間外手当支給の基準が明確になり、賃金不払い残業の蔓延する職場環境の改善の一歩となる。 (2)非常勤講師(集中講義を含む)の際の形式的な勤務割り振りの必要がなくなる。 (3)勤務時間をより実態に近づけて判断できることから、労災認定のための業務遂行性の判断が容易になる。 などが考えられます。 今後の問題としては、入試手当を時間外手当の形で支給するという今のやり方と裁量労働制の矛盾があります。入試業務を担当しても所定労働日なら8時間とみなされ、休日なら休日給が支給されることになり負担に応じた手当にならないからです。これについては入試手当の新設で対応するのが望ましいと思います。また、拘束的業務の判断基準も検討課題です。教員の皆さんの声を聞きながら、皆が納得できる運用を目指す必要があります。 |