No.33
2006.2.7
熊本大学教職員組合
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惨憺たる熊本大学の管理者たち
——誠実性をなくした使用者と責任感をなくした部局長——

使用者、2006年度以降への対応の案を提示——2月9日に団体交渉を予定——
 昨年の人事院勧告の2006年度以降への対応(「給与構造の基本的見直し」)については、1月25日の団体交渉終了後に使用者側から案が示され、2月9日に団体交渉が開催される予定です。使用者側が提示した「平成18年度以降における役職員の給与等の取扱いについて」は、すべて人事院勧告に準拠するというものでした。その内容の問題点については、別途、詳しくお伝えします。今回示された「平成18年度以降における役職員の給与等の取扱いについて」は、提示までの過程を見る限りでも問題があるものです。ここでは、提示に至るプロセスの問題に限ってお伝えします。
「2006年3月までに検討する」はまったくの嘘!!——検討ないまま提示へ——
 すでに各部局の教授会等で報告があったものと思いますが、すべて人事院勧告に準拠するという「平成18年度以降における役職員の給与等の取扱いについて」は、2006年1月12日の部局長等連絡調整会議で学長から報告された後に、教職員組合に提示されました。問題は、この使用者案がいつ・どこで決定されたかです。複数の部局での説明によれば、今回の「平成18年度以降における役職員の給与等の取扱いについて」は、昨年10月6日の役員会で了承された「国立大学法人熊本大学における平成17年度人事院勧告(給与構造の基本的見直し)に伴う役職員の給与等の取扱いについて」に基づくといいます。
 この間、熊大使用者は、昨年11月8日・9日「平成17年度人事院勧告に関する説明会」や組合との交渉の場(2005年11月14日、11月22日、12月15日)で「2006年度以降についての対応は来年3月(2006年3月)までに検討する」と何度も公言してきたのですから、これには驚きます。昨年 10月6日の役員会で了承されていたとしても、「2006年3月まで検討する」と説明した以上は、「説明会」での教職員の意見や組合からの要求に耳を傾けて当初の案を練り直し、それから使用者案を提示するのが本来あるべきプロセスのはずです。しかし、昨年10月6日の役員会での了承が根拠というのですから、そうした作業は行なわれなかったのでしょう。この間、熊大の使用者が行なったのは、教職員に対しては「2006年度以降についての対応は来年3月(2006年3月)までに検討する」と嘘をつき続け、2005年度分への対応(基本給と配偶者の扶養手当の切り下げ)を強行しただけといわざるを得ません。
 昨年10月6日の役員会で了承された「国立大学法人熊本大学における平成17年度人事院勧告(給与構造の基本的見直し)に伴う役職員の給与等の取扱いについて」の「4 今後の進め方」の項には、「職員に対し、このことについて十分な情報提供を行うとともに職員の納得を得る努力をしつつ、労働組合との誠実な交渉を行うものとする」と記されていますが、これは絵空事です。また、同「3 実施時期」の項には、「実施時期については、他大学の動向等を踏まえた上で決定するものとする」と記されています。この間の経過を見ると、どうやら、自身の教職員には誠実に向き合うことなく自らの案を押し付ける一方で、他大学の動きだけは気になるというのが、本学の使用者の体質のようです。
地に落ちた部局長集団——部局長等連絡調整会議で発言なし——
 「平成18年度以降における役職員の給与等の取扱いについて」が学長から報告された2006年1月12日の部局長等連絡調整会議では、この件について意見や質問を出した部局長等は誰一人としていなかったそうです。いうまでもなく、人事院勧告の「給与構造の基本的見直し」の内容は、本学の教職員と首都圏・大都市圏の国立大学法人の教職員との格差、さらには民間との格差を大幅に拡げるものです。にもかかわらず、なぜ部局長等は意見や質問を出さなかったのでしょうか? 現在でさえも、優秀な教員の流出や看護師等の確保に悩まざるを得ない状況にあるのですから、なおさらです。一体、部局長等は自らの部局の教職員の生活や部局の将来構想に真摯に向き合っているのでしょうか? 物言わぬ部局長等は、自ら担う部局への責任を放棄しているといわざるを得ません。
 ある部局の場合、教授会(2006年1月18日)で出された“「平成18年度以降における役職員の給与等の取扱いについて」の内容は、いつ・どこで決まったのか?”という質問に対し、学部長は正確に答えることができず、後日、調べ直して電子メールで構成員に報告するという有様でした。他の部局の教授会(2006年1月25日)でも、同様の質問に対して“分からない”と部局長が答えています。教員個人活動評価ワーキンググループの結論を圧殺して決定したという大学評価会議「教員の個人活動評価の見直しの考え方」の問題点を指摘した「構成員の信頼を裏切る突然の方針転換!!——「教員の個人活動評価」の結果が“給与に反映”に——」(『赤煉瓦』№21、2005.11.18)では、問題点の一つとして部局長等の力量を挙げましたが、もはや責任を放棄したといわざるを得ない状態の部局長等に教員評価の絶大なる権限を付与してよいのか、危惧の念は増すばかりです。
使用者側はどのような姿勢で交渉に臨むのか?
 2月9日の団体交渉に使用者側は一体どのような姿勢で臨むのでしょうか? 我われ教職員組合の要求にはまったく歩み寄りの姿勢を見せることなく、教職員に嘘をつき続けても平然としている本学の使用者は、教職員組合との交渉を自らの案を正当化する儀式、もしくはアリバイ工作と見なしているとしか言いようがありません。我われは、使用者側がわずかでも本学教職員に対する誠実性を恢復して交渉に臨むことを要望します。

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