No.36
2006.2.23
熊本大学教職員組合
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労働管理に「問題アリ!」=医療系職員の労働条件に「問題ナシ」発言
労働条件の改善についての団体交渉報告(3)

 赤煉瓦No.30(2006年2月2日)の最後でも触れましたが、1月25日に開催された労働条件についての団体交渉では、医療技術職員の労働条件改善要求を巡って、使用者側の労働管理の杜撰さが一層明らかになりました。  今回の交渉に先立つ12月7日、組合は医療技術職員の労働条件に関して3つの要求を提示しました。その後、1月25日の交渉当日までの間、使用者側からの求めに応じて、問題の所在についての説明を2度も行いました。そもそも、組合に聞かなければ、何を調べて良いのかさえ分からないという時点で、すでに労働管理能力は無いと言わざるを得ないのですが、調査の結果が「問題なし」では、「○○の使い」と言われたとしても仕方がないでしょう。

3.
看護師の4週変形労働時間制の運用について実態を調査し、労使協定による変形労働時間制の適用を含めて改善に向けた検討を行うこと。

 日勤・準夜・深夜といった看護師の変則的な勤務は、就業規則による4週変形労働時間制を適用することで実現しています。就業規則は、原則として4週当たり8日の休日を付与する使用者の義務を定めていますが、4週8休のシフトを組んでいても、実際の勤務においては、欠員が生じて8休が7休になることも珍しくありません。また、附属病院事業場の36協定(「時間外・休日労働に関する労使協定」)には、変則的に配置される各勤務の間隔が5時間を下回らないよう時間外労働の時間を管理することが使用者の努力義務として規定されています。従って、4週変形労働時間制に基づいて看護師のシフトを設定する際には、常態化している早出・居残り残業の実態をふまえ、十分な間隔を確保するよう配慮する必要があるのですが、現状では、特に日勤・深夜の組み合わせにおいて、5時間以上空かないケースが生じているのです。
 使用者側の回答は、「これについては、病院を調査した。4週変形労働時間制についてはチェックをコンピュータでやっているので、適正に運用している。超勤については30時間以上している職員については師長から指導している。運用については問題ない。」との回答でした。看護師の勤務時間管理システムには、早出残業や病棟会議出席のための休日労働時間を記録する仕組みが用意されていません。また、超過勤務を抑制する指導を行う一方で、特に新人の看護師の中には、超勤の記録方法についての指導を受けていない、あるいは、実労働時間より少なく申請するよう指導を受けている人もいます。これは違法行為以外の何ものでもありません。そのような不完全なシステムと問題ある指導体制のもとに記録されたコンピュータ上の勤務時間を「実態」として認め、「問題は無い」とする使用者側には、もはや看護師の4週変形労働時間制を運用する能力は無いと言わざるを得ません。
 そのため組合は、4週変形労働時間制を、就業規則ではなく、労使協定により定めるよう要求しました。使用者側に労働管理能力が無い以上、労使協定を締結し、協定当事者である過半数代表者に制度の運用実態を厳しく監視していただくしか、就業規則及び36協定に反する現状を脱する手だては無いからです。
 非常に残念なことに、使用者側の認識では、「労使協定締結の必要はない」ようですが、組合からの再調査要請に対しては、「速やかに調査する」旨回答がありました。今回同様に「問題なし」との回答であれば、コンピュータによる運用実態把握が全てであり、人事課に職員を配置する必要など無いはずです。再調査の結果が期待されるところです。

5. 中央手術部に勤務する職員に調整額を支給すること。

 現行の就業規則によると、職員の職務内容、勤労条件等の特殊性に基づき、「基本給の調整額」を支給することになっています。例えば、危険な病原体に感染する恐れのある業務に携わる医師や看護師、技術者はもちろん、受付業務を行う事務職員にさえ同様の理由で調整額が支給されているのです。しかしながら、患者の血液に接触することが常例である中央手術部の職員は、支給対象から除かれています。
 今回の交渉でも、手術に携わる職員の感染、危険性の高さなど業務の実態を訴え、法人化以前から全国病院長会議が文部科学省に対して要求を出している事実を指摘しました。しかし、使用者側からは、中央手術部の業務が、「特殊であれば(調整額を)出すということになる」が、現時点では「極めて危険な業務だとは言い難く、調整額は支給できない」との回答がありました。職務内容、勤労条件の特殊性とは何かを今後も訴えていく必要性があります。
 また、私大の久留米大学で看護師や臨床工学技士に支給されている手術部勤務手当の例を示したところ、使用者側は、この要求についても調査を進め、改めて報告することを約束しました。

6. 交替制勤務を行っている中央検査部の技師に対し夜間看護手当相当分の手当を支給すること。

 職員給与規則では、看護等の業務を深夜に行わせた場合に、一定額の手当を支給することが定められています。しかし、この手当の支給対象は助産婦と看護師に限定されているため、中央検査部の技師の方々は、夜を徹して業務に従事されているにもかかわらず、夜間勤務手当の支給を受けることができません。
 組合の要求に対し、使用者側は、「調査した結果、中央検査部については、勤務条件が看護師と技師で違う。技師は仮眠ができている。措置すれば、対象範囲を拡大することになるので見直しする考えはない。」と回答しました。しかし、ここで問題とすべきことは、仮眠が許されているか否かではなく、仮眠をとることが可能か否かです。中央検査部の技師も看護師同様、仮眠を取れる状況にないことは明らかな事実です。使用者側は、この指摘を受け、「勤務形態が技師と看護師で微妙に違う。手当をつけるにしても看護師と同様というのは難しい。調べさせてほしい。」と、またもや再調査を申し出ました。

 「分からないから、調べます。」――これが、医療技術職員の労働条件改善要求に対する回答の全てです。 組合から事前に説明を受けたにもかかわらず、このような対応を繰り返す使用者側には、もはや労働条件改善の意欲も能力も無いと言わざるを得ません。なお、交渉から1ヶ月が経過しようとしている本日現在、使用者側からは、再調査結果はもちろんのこと、実態把握に向けた取り組みについてさえ報告はありません。このような状況が今後も続くようであれば、組合としても態度を硬化せざるを得ません。

過半数代表者が36協定更新に「待った!」をかけました

 使用者が、職員を正規の勤務時間を越えて業務に従事させるためには、過半数代表者と36協定(「時間外・休日労働に関する労使協定」)を結ぶ必要があります。この協定は、現在行われている常態的な超過勤務を法的に保証するものですが、1年間を単位に適用されるため、本年度末の3月31日にその効力を失います。過半数代表者は、協定当事者として、協定の運用実態を把握し、来年度の協定締結の可否を判断する立場にありますが、今回お知らせしたように、使用者側の不払い労働を黙認、あるいは助長する姿勢が明らかである以上、来年度の締結には同意しかねると考え、使用者側にその旨通達しました。また、協定内容自体にも問題が存在すると判断し、見直しのための協議を要求しています。
 大学の運営が、職員の膨大な超過勤務に依存している現状で、36協定の締結に異議を唱えるという行為は、非常に重い意味を持ちます。過半数代表者は、その重責に苦しみながらも今回の判断を下したのです。私たち組合は、過半数代表者の決意を尊重し、その職務の遂行に全面的な支援を行います。職員の皆様のご理解とご支援をお願いいたします。

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