No.37
2006.2.27
熊本大学教職員組合
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またも見苦しい言い逃れ!  しかも未だ回答なし
———外国人教師処遇問題をめぐって(8)———

「熊本大学職員の任期に関する規則」第2条第1項の削除を要求
 1月25日の労働条件の改善についての団体交渉では,外国人教師の退職後のポストを労働基準法第14条に基づく任期制とする「国立大学法人熊本大学職員の任期に関する規則」第2条第1項の削除を求めました。削除を求めた第2項第1項の規定は次の通りです。
外国語科目又は専門教育科目を担当させるにたる高度の専門的学識又は技能を有し,当該科目に係る外国語を母語とする者で,大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者として採用する助教授又は講師。
 我われ熊本大学教職員組合がこの規定の削除を求めたのは,かりに本学の教員に任期制を導入する場合は,労基法第14条に基づくのではなく,「大学教員任期制法」に基づくべきであるという元来の主張のほかに,2004年度『赤煉瓦』No.32(2005.2.8)で指摘した次の三つの問題点を抱えているからです。
  (1)
外国人教師の退職後のポストの教員を大学教員として処遇していない(職員として処遇している)こと。
  (2)
外国人,もしくは「当該科目に係る外国語を母語とする者」を差別していること。
  (3)
外国人教師の退職後のポストだけに限定することなく,「外国語科目又は専門教育科目を担当する」ポストに外国人を助教授・講師で任用する場合には拡大して適用できること。
 (3)の問題点については,2005年1月21日に,この規定は「従前の外国人教師の後任として採用する場合に適用するものである」ことを伝える通知が各部局長に出されています(2005年1月21日「国立大学法人熊本大学職員の任期に関する規則の運用について」)。規則の趣旨を伝えるために通知を出さざるを得ないこと自体,この規則が重大な欠陥をかかえていることを如実に示していますが,その根本的原因は,大学教員に任期制を導入することができるようにするために制定された「大学教員任期制法」ではなく,労基法第14条に基づいて任期を付したことにあります。

熊大使用者が示した根拠の変選——残る根拠は一つ——
 これまでお伝えしてきた通り,本学の当局・使用者は「大学教員任期制法」の誤った解釈,評議会での瑕疵ある意志決定のために,外国人教師の退職後のポストを「大学教員任期制法」ではなく労働基準法第14条に基づく任期制とする根拠を四転させてきました。これまで本学の当局・使用者が示した四つの根拠を確認すれば,次の通りです。
  ①
外国人教師という特殊な職務を継承するものであるため(2004年1月28日文学部からの問い合わせに対する人事課の回答)。
  ②
「大学教員任期制法」に基づく任期制は,多様な人材の確保が特に求められる教育研究祖織を単位に導入するものであり,特定の職=ポストごとに導入することはできないため(文学部からの問い合わせに対する人事課の回答,2004年2月26目評議会における学長の発言,2004年3月5日黒髪事業場「就業規則に関する説明会」での人事課長の発言)。
  ③
外国人教師の退職後のポストは「大学教員任期制法」の3条件に該当しないと判断したため(2004年7月1日教職員組合に対する学長の回答文書[2004年6月30日人事課作成の奥付])。
  
外国人教師のポストは学長預かりの全学ポストであり,教育研究組織に属するものではない。「大学教員任期制法」の任期剰は教育研究組織のポストを対象としており,教育研究組織に属さない外国人教師のポストに適用することはできないため(2005年1月7日団体交渉での使用者の発言)。
 いうまでもなく,①・②・③の根拠については,団体交渉等で組合によって論破されており,2004年11月25日の教育研究評議会では,崎元学長が「不明確・不十分な表現あるいは説明者によってニュアンスや表現の違いにより,部局等に混乱を与えたことに対して深くお詫びしたい」と陳謝し,将来は「大学教員任期制法」の任期制に適合する組織化など「見直しを含めて検討する」と明言しています。熊大使用者に残されているのは④の根拠のみということになります。

教育研究組織に属さない教員ポストなど存在しない
 2004年度『赤煉瓦』No.32(2005.2.8)で指摘した通り,残る④の根拠は詭弁を弄したものです。もう一度確認しましょう。使用者側は“外国人教師のポストは学長預かりの全学ポストであり,教育研究組織に属するものではない”といいます。しかし,いかに学長預かりの全学ポストとはいえ,教育研究組織に属していない教員ポストなど,一体どこにあるのでしょうか。すべての教員ポストは何らかの教育研究組織に配属して運用されています。それは,学長預かりの全学ポストであっても変わりありません。外国人教師のポストも,必要な教育研究祖織=学部・学科・講座に属して運用されています。外国人教師の人事選考の権限は配属された学部に委ねられていますから,人事選考が全学の委員会で行なわれる学内共同教育研究組織の教員の場合よりも,外国人教師のポストは教育研究組織に強固に属して運用されているといえます。
 外国人教師も含め,教育研究組織に属していない教員ポストなど存在しないことは,2005年2月28日の文学部長交渉の場で個人的見解としながらも文学部長が認めています。

熊大使用者・管理者自らの行為が根拠を否定!!
   ——政策創造研究センターと総合情報基盤センターにおける任期制導入——

 “学長預かりの全学ポストは教育研究組織に属するものではないため,「大学教員任期制法」を適用することはできない”という④の根拠は,すでに熊大使用者・管理者自らの行為が否定しています。その行為とは,政策創造研究センターと総合情報基盤センターにおける任期制の導入です。2005年4月1日から政策創造研究センターの教授・助教授・講師のポスト,総合情報基盤センターの計算機援用教育研究部門(インストラクショナル・デザイン分野)の教授・助教授・助手のポストでは,任期5年・再任可の任期制が導入されました(その結果,政策創造研究センターでは助教授3名,総合情報基盤センター計算機援用教育研究部門では助教授1名・助手1名が任期付任用されています)。これらの教員ポストは,いずれも学長預かりの全学ポストです。熊大使用者が示した④の根拠にしたがうならば,学長預かりの全学ポストなのですから,任期を付す場合には外国人教師の退職後のポストと同様に労基法第14条が適用されて当然なはずです。ところが,政策創造研究センターと総合情報基盤センターの任期制には,労基法第14条ではなく,「大学教員任期制法」が適用されています。これは,学長預かりの全学ポストであっても「大学教員任期制法」が適用できることを示すものであり,熊大使用者が④の根拠を自ら否定したものにほかなりません。

いつまでに「見直しを含めて検討する」のか?
 1月25日の団体交渉で熊大使用者は,再び④の根拠を示して組合からの削除要求を拒否しました。これに対して組合は,“崎元学長が2004年11月25日の教育研究評議会で陳謝し,「見直しを含めて検討する」と明言しているが,いつまでに検討するのか”を確認しました。その返答は“わからない”というものでした。“いつまでに検討する必要があると考えるか”という質問には,人事課長が“個人的には,現職の方の任期が満了する2007年3月末までと考える”と答えました。任期が終わる2007年3月末までにという人事課長の見解は,妥当に見えるかもしれませんが,まったくお粗末なものです。「文学部における有期労働契約の常勤教員の再任審査及び再任手続等に関する内規」は,再任を希望する場合は任期満了の1年2ケ月前までに申し出ること,再任審査は任期満了の1年前までに終えることを定めているからです。処遇が変更される可能性があるのですから,今後どのようになるかは,再任希望の申し出の期限である任期満了の1年2ケ月前までに本人に示されて然るべきです。文学部の現職の方の任期満了の1年2ケ月前とは,2005年1月末日です。その直前になっても,“いつまでに検討するのか”と問われて“わからない”と答えるのですから,無責任といわざるを得ません。こうした追及に対して,熊大使用者は何も答えることができず,学長に確認して後日文書で回答することを約束するという有様でした。

文学部長が教授会で陳謝
 1月末日までに現職の方から再任希望の申し出があった文学部では,2月15日の教授会で“再任希望の申し出の前までに「見直しを含めて検討」した結果を本人に伝えて然るべきだが,学部長・評議員はこれまで学長にどのような働きかけを行なったのか”という質問が出されました。これに対し,評議員の一人は“教育研究評議会で発言していない”と答え,学部長は“学長に一度お願いしたことはあったが,そのままになっている”と答え,教授会に対して陳謝しました。文学部の場合,次の文書を合意していたのですから,学部長・評議員は,組織合意への背任,あるいは職務怠慢を犯したと言わざるを得ません。
……今後,外国人教師問題に関して,関係する2学部と協議を進め,大学教員任期法による雇用を含め,外国人教師の全学的位置づけと運用の見直しを求めて,部局長・評議員を通じて,運営会議・評議会(法人化後は部局長等連絡調整会議・教育研究評議会)等の全学的な場において,積極的な働きかけを行うこととする。 (文学部「外国人教師の採用人事開始にあたっての組織委員会確認事項」)

1ケ月以上経っても回答文書は届かず
 熊大使用者は,いっまでに「見直しを含めて検討する」のか,学長に確認して文書で回答することを確約しましたが,団体交渉からIケ月以上を経過しても回答は組合に届いていません。現職の方を任用しながらも,2004年11月25目の教育研究評議会以降,ほとんど放置していたというのが,学長以下,熊大の管理者の実態のようです。外国人教師の退職後のポストを労基法第14条適用の任期制とする根拠は,もはやないはずです。我われは,早急に労基法第14条の適用を見直すことを改めて強く要望するとともに,使用者側が「学長が判断した」と言い張る以上,外国人教師の退職後のポストの問題にっいては,給与問題と同様に崎元学長自らが団体交渉に臨むことを要望します。

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