2007.1.10 |
||
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp |
——団体交渉報告・その3—— 各部局長にも要望書を提出しました |
『赤煉瓦』№27(2006年12月15日)でもお伝えしたように、各部局には2007年4月1日以降任期制を導入する組織・職、助教の資格基準、助教の授業担当・教育・研究指導担当の範囲等を検討し、1月26日までに企画部に提出することが求められています。今回の交渉の内容を踏まえて組合は、2006年12月25日付で、これらを検討するにあたっての留意点を列挙した要望書を各部局長宛に提出しました(裏面参照)。 以下、交渉の内容を報告します。 「助教」の職務内容について 企画会議の「学校教育法等の改正に伴う検討(最終案)」(以下、「最終案」)は「助教」の職務内容の基準は各部局において策定するとしているが、大学全体として最低限の基準を設定した上で各部局の多様性を認めるようにすべきである、という組合の主張に対して、人事・労務担当理事は、すでに12月9日の1回目の交渉において、委員会負担等は全学的に負担基準を設けるべきであり、検討は今後の課題だと回答していました(『赤煉瓦』№27、2006年12月15日、参照)。 今回の交渉で人事・労務担当理事はさらに踏み込んで、カリキュラム作成の委員会等は別だが、「助教」には原則として管理・運営の負担をかけない方向で職務内容の全学基準を作れないか検討する、と回答しました。 また担当理事は、授業負担コマ数の上限については部局ごとの事情があって全学統一基準を設けることは困難だとしながらも、「最終案」1(1)②「助教の職務内容」に、 職務内容に基準を定めるに当たっては、部局ごとの事情に鑑み、大学全体としての統一基準は設けないが、授業負担時間数については、部局ごとに上限を設定するなど、助教の負担増とならないよう十分配慮する必要がある。とあるうちの下線部「するなど」という表現をより明確な表現に改めることで対応する(1月開催の教育研究評議会が最終審議)、と述べました。 さらに組合が、「助教」の職務内容が現在の助手の職務内容を越えることがないようにすることを各部局に明確に通知するよう要望すると、担当理事は、助手の負担増となることがないよう今回の教員組織見直しの趣旨を1月の評議会で詳しく説明して周知させる、と述べました。 「助教」の資格基準 組合は前回の団交と同様に、各部局が策定する「助教」の資格基準は、いわゆる「事務助手」 の方を除き、現職の助手がすべて「助教」に移行できるものとすべきで、具体的には「大学設置基準」第16条の2から大きく逸脱して現状から掛け離れた基準(学位や業績)を設けることがあってはならない、担当理事はこれを各部局に明確に通知すべきだ、と要求しました。 担当理事は、同じく今回の教員組織の見直しの趣旨を各部局に周知徹底させると回答しました。 「助教」の処遇について 「最終案」は「助教」について「現在の助手の処遇をそのまま適用する」としているが、現在の助手よりも職務内容と責任が増えることからすれば、教育職(一)3級を適用することや大学院教育負担の有無にかかわらず調整額を設けるなど、賃金面で優遇すべきである、という組合の強い主張に対して、使用者側は、前回の交渉では困難であるとの回答を示しました。 しかし今回、人事・労務担当理事は、結論がどうなるかは不明としながらも、今年度の授業担当のデータ及び時間割によって、調整額をシュミレーションする作業を年度内に行い、その上で「助教」の学部授業負担への手当支給について検討する、と明言しました。 「助教」の任期制について 任期制問題については、まず「最終案」の2(1)における次の記述をめぐって交渉しました。 なお、平成19年4月1日以降新たに採用する助教ポストについては、優秀な若手研究者を養成・確保する観点から、各教育研究分野の特色を考慮した任期制ポストとして活用することを原則とするが、その判断については部局に委ねるものとする。組合は、来年度以降採用の「助教」に任期制を適用するのを全学の「原則」としながら、その判断を「部局に委ねる」とするのは矛盾である、「原則」文言は対外的にも一人歩きする危険があるので削除するよう、前回の交渉と同様に要求しました。 これに対して人事・労務担当理事も前回の団交と同様に、「原則」文言は中期目標・計画を反映したものだが、この文章の意味は、来年度以降採用の個々の「助教」ポストに任期制を適用するか否かは、あくまで学問研究の特性に応じて部局で判断するということだという見解を示し、「原則」文言の削除を拒否しました。そこで組合は、担当理事の言うように学問研究の特性に応じて任期制を導入するためには、部局以下の教育研究組織=学科・講座・部門等で検討する必要があると糺し、この任期制は部局一律の導入ではなく、部局における判断は部局内の個々の教育研究組織での検討結果を踏まえる必要があることを部局に明確に通知するよう要求しました。これに対して担当理事は、その旨を1月の教育研究評議会で説明して周知させると確約しました。 また、前回の団交をうけて組合が、「大学教員任期制法」上の「助教」は従来の研究専念型助手に対応するという理解を文部科学省も示しているので、「助教」に任期制を導入する場合には従来の研究専念型助手と同等の研究条件を準備しなければならないことを部局に明確に通知するよう要求すると、担当理事は、この点は大きな課題と認識しており、やはり法改正の趣旨に鑑みて研究条件を整備するよう周知する、と回答しました。 さらに組合が、2007年4月1日以降採用の「助教」に任期制を適用する場合は、任期制導入の正式決定、すなわち就業規則改正の後に教員公募を行うべきだと糺すと、担当理事は、部局での任期制適用の決定(担当理事いわく「実質的決定」)後、直ちに公募開始するのも機動的であり、本学は学部等の判断を尊重してそのように運用してきた、教育研究評議会での規則改正は当該教員の着任に間に合えばよい、と述べました。組合は、それでは規則改正に関する評議会審議の形骸化を認めることになり、本来の法律解釈から断じて認められないとの見解を示しました。『赤煉瓦』№27(2006年12月15日)でもお伝えしたように、これは熊大における任期制適用手続き一般に関わる重大な問題でもあるので、今後の労使協議や団体交渉で厳しく追及してゆきます。 「新助手」、教務職員、技術職員について 「新助手」について組合は、前回の団交と同様に、現在の助手と「新助手」とでは予算配分の面でも明らかなように全く異なる職種であることを部局及び現助手に周知した上で希望を取るよう要求しました。これに対して担当理事は、「最終案」が確定した段階で部局等に通知する予定であると回答しました。 また、組合が「新助手」は教育研究の主体ではないため任期制を導入しないよう要求すると、担当理事は、企画会議ワーキンググループでは検討していないが意見として伺っておく、と述べました。 教務職員、技術職員(教育研究補助者)の位置づけは将来的に検討するのかどうかを組合が質すと、担当理事は、現段階までは検討していないが、然るべき段階に然るべき組織で検討する課題であると認識している、と回答しました。 各部局長に要望書を提出しました! 助手職の皆さんはご注目ください! 以上で学校教育法の改定に伴う新教員組織のあり方についての団体交渉は、ひとまず終了しました。 「助教」の処遇や任期制導入手続きの問題点等に関しては今後の取り組みに課題を残しましたが、2回にわたる団体交渉を通じて、新しい教員組織の在り方を「学校教育法」等改正の趣旨や「大学教員任期制法」の趣旨に則ったものにする道筋が見えてきました。人事・労務担当理事は、以上の交渉で確認された諸事項を教育研究評議会等で周知すると明言しました。しかし、冒頭に記したように、各部局における任期制・助教職等についての検討結果の企画部への報告期限が2007年1月26日に差し迫っているため、組合は各部局長宛に以下のような要望書を提出しました。2回の団体交渉の成果を踏まえた諸事項を明記したものです。
|