No.36
2007.3.14
熊本大学教職員組合
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賃金交渉についての使用者側の対応は
前年度にも増して不誠実
団体交渉報告・その4
―最も基礎になるデータを示さず、
学長の出席も拒否―
 2007年度賃金改定をめぐり、昨年11月15日、今年に入って2月23日、3月8日と3回の団交が行われました。今後いくつかに分けて団交で議論になった論点を紹介します。法人化後3年が経過しましたが、相変わらずの公務員感覚でまともな労使関係を築こうとしない使用者側の不誠実な態度がさらに鮮明になっています。

組合の基本要求 給与構造見直しに伴う大幅な賃金切り下げに対する不利益緩和措置をとるべきである
 2006年4月1日から私たちの賃金水準は平均4.9%切り下げられました。現給補償の仕組みにより、2006年度の影響は1億6千万円
(昨年3月団交での説明)に止まりますが、5年後には年間10億円以上(退職金を除く人件費の5%以上)になると予想しています。この不利益の緩和が組合の最も基本的な要求です。
 したがって、賃金切り下げの効果が各年度でどの程度になるかが、団交の議論の最も基礎的なデータとなります。これについて使用者側は、「入試手当や入試業務に伴う休日給などの額が不透明で算定できない」と回答を拒否しました。私たちが求めているのは、賃金切り下げの2007年度における人件費への影響ですから、この回答は論点をそらした不当なものです。組合は、1年目が1億6千万円ですから2年目は3億円以上になるという前提で今後対応します。
 さて、この3億円に及ぶ賃金切り下げによって生じた財源をどう使うのか説明する責任が使用者側にあります。これは地域手当の支給地になり、その分を人件費にまわさなければならない大学には無い財源なのです。これについて昨年度からの使用者の説明をまとめてみましょう。
*2006年2月
 インセンティブ付与の方向で検討中、賃金切り下げの効果は1億6000万円。
*2006年3月
 1億6000万円浮くということだが、現給保障や非正規看護師の特定有期雇用職員化などに使うので4000万円程度にしかならずインセンティブには使えない。
*2007年3月
 入試手当や休日給の支給等で4000万円も残らない。
 非正規雇用の看護師の待遇改善は看護師確保という重要政策のために必要不可欠な政策です。看護師を増員し7対1看護を実現すれば、医療費の基礎単価が増額されるので、大幅な病院収入増が期待されます。いわば看護師の待遇改善は経営戦略のために当然とるべき施策です。そのための経費を私たちの賃金を切り下げて賄うとすれば、大学執行部の経営努力とは何か疑わざるを得ません。
入試手当の新設と振替休日の扱いの厳密化はかねてから組合が要求してきたことです。しかし入試手当の額は過去の超勤手当として支給されてきた金額を基準に算定されたもの
(2006年2月の団交での説明)であり、不利益緩和措置とは言えません。振替休日の扱いの厳密化は歓迎しますし、それによって休日給が増大するのは認めますが、不利益緩和というよりも労働時間管理の合法化(今までが違法状態)です。総合的な賃金問題への対応の中で不利益緩和を行うべきという組合の要求からは程遠い内容です。

不利益緩和措置として勤勉手当の枠の拡大を要求する
 不利益緩和措置には様々なものがあります。その中で最も重視しているのが勤勉手当の枠の拡大です。これに関わって組合は3点の要求をします。

「勤勉手当の総枠を拡大せよ」
 勤勉手当は「成績率」を反映するインセンティブ付与に最もふさわしい手当です。使用者側は昨年2月時点では賃金切り下げによる財源の使い道としてインセンティブ付与をあげました。その後「4000万円程度しか残らなくなった」という理由で撤回しましたが、逆に言えば4000万円残っているわけです。組合はこの財源を原資に、昨年5月勤勉手当の0.025月アップを要求しました。しかし、使用者側はこの要求の意味さえ理解することができないまま6ヶ月間も放置するという無責任ぶりを示しました。人事・労務担当理事は昨年11月の団交の席でやっと組合要求の意味を理解し、改善の方向で検討すると述べましたが
『赤煉瓦』25、2006年11月28日)、その後もこの要求に関する具体的な検討結果は今日に至るまで組合に一切伝えられていません。使用者側は組合の要求を10ヶ月間も放置していることになります。2007年度は賃金切り下げ効果は3億円以上に上るのですから、さらに強く枠の拡大を求めます。

「勤勉手当の総枠規制(給与規則第40条2)を就業規則から削除せよ」
 常勤職員の勤勉手当について、給与規則第40条2では勤勉手当の総額を規制しています。ですから、教職員がいくら熊本大学を良くしようと頑張っても、勤勉手当は決まった枠内の取り合いにしかならない仕組みになっています。これは教職員が一致して熊本大学を発展させていこうとする基本的な考え方に矛盾します。また成績率も学長が別に定める割合というだけで明示されていません。就業規則を読んでも標準でどの程度の勤勉手当が出されるのか分からない仕組みになっています。これは就業規則の構造的欠陥であり早期の改定を要求します。

「勤勉手当の総枠については経営状況を元に組合との協議(一時金交渉)を通じて決定せよ」
 まともな労使関係では常識でしょう。もちろん100分の72.5という公務員の枠は考慮せざるを得ません。ただし、総枠に5000万円上乗せするとか、100分の75にするとかの判断は可能なはずです。いずれにしても経営状況をみながら労使で協議すべき事項です。

学長は交渉の場で自らの見解を説明すべきである
 勤勉手当の枠拡大の要求は、昨年度の団交での「賃金削減により生まれる財源は教職員のインセンティブに使いたい」という学長発言を受けてのものです。しかし使用者側は賃金切り下げによって生じる財源についての基礎データ、すなわち団体交渉の基礎資料の提出を行わないばかりか、人事・労務担当理事は、「今年は労働条件を不利益変更するわけではないので、団交に学長の出席は必要ない」とまで言い放ちました。基礎データを出さず、団交に学長の出席もないというのは、昨年度以下の不誠実な対応です。
 組合は、給与交渉には最高責任者である学長の出席を求めています。「教職員のインセンティブに使いたい」と言っておきながら、一般教職員の被っている不利益を放置しようというのは、学長の判断なのか? 学長は昨年の団交における自らの発言に責任を持ち、団交に出席して、不利益緩和に関する自らの考えと検討内容を説明すべきです。学長には、その義務があります。

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