No.18
2007.12.4
熊本大学教職員組合
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学長選挙(「意向聴取」)の
廃止を強硬に主張!!
――「学長選考会議」における
学外委員の危険な動き――

 『赤煉瓦』14
(2007年10月30日)において、6月21日に開催された「学長選考会議」(学外委員を含む23名の選考委員により構成される、以下「選考会議」)にて一部委員から「意向聴取(学長選挙)制度には弊害もある」、「意向聴取によらない」学長候補者選出方法を検討すべきといった発言がなされたこと、11月15日の第2回会議の動向が注目されることをお伝えしました。その後、第2回「選考会議」は予定通り開催されました。「選考会議」は議事録を公開しない、いわば「密室会議」であり、そのこと自体が問題なのですが、ここでは組合が知り得た情報をもとに第2回会議の様子をお伝えすることにしましょう。

学長選挙廃止を強弁しているのは学外委員、その主張に根拠なし
 ご承知のように、熊本大学における現在の学長候補者選考方法は、講師以上の教員と事務職員の一部とを対象とした「意向聴取」=選挙を過半数票獲得者が出るまで行い、その結果を「選考会議」が事実上承認する形で選考する
(最終的にはその者を文部科学大臣が任命)という、構成員の意向を最大限に尊重した透明性のある制度によっています。ところが、第1回「選考会議」に続いて、第2回会議でも意向聴取制度を廃止すべきだと強行に主張した委員が存在します。学外委員の井上孝美氏(放送大学教育振興会理事長、元文部事務次官)と江口吾朗氏(尚絅学園理事長兼学長、前熊本大学学長)です。彼らの主張のよりどころはおおむね次の二点です。
(1) 「国立大学法人法」第12条第2項には、学長候補者は「選考会議」が選考するとのみ規定され、学長選挙=意向聴取の実施を必要条件として明記していない。
(2) また「教育再生会議第二次報告」(2007年6月1日)では、「国立大学は、法人化の趣旨を踏まえ、学長選挙を取りやめるなど、学長選考会議による学長の実質的な決定を行うこととする」とされている。
 これらを踏まえて学長選挙を取りやめなければ、熊本大学は各種の大学評価で低い評価をうけることになってしまう、というのです。
 しかし、上記の理由にはまったく根拠がありません。
 (1)については、そもそも「国立大学法人法案」を審議した2003年4月16日の衆議院文教科学委員会において、当時の遠山文科大臣や遠藤高等教育局長が、「学長選考会議の判断によりまして選考プロセスの中で何らかの形で学内の幅広い意向聴取手続きをとるということは想定し得る」
(遠山大臣)、「一般の教職員の方が学長の選考に全く関与できないか、ということでございますけれども、(中略)その選考手続きの一環として、学長選考会議の判断によりまして、何らかの形で学内者からの幅広い意向聴取を行うことはある」「選挙みたいな、いわば投票のような形でやるということもある」(遠藤局長)と述べています(「衆議院文教科学委員会議事録」)。「国立大学法人法」の規定は学長選挙の実施とは何ら矛盾しません。そのことを文科大臣も文科省も国会審議において明言しているのです。
 また(2)の「教育再生会議」は安倍内閣が設置した内閣直属の機関ですが、その「報告」は内閣への単なる「提言」でしかなく、法的効力をまったく有さないものです。
 したがって、もし彼ら学外委員が言う「学長選挙を続ければ大学評価に影響する」という事態が発生したとすれば、そうした大学評価そのものの違法性が問われねばならないことになるのです。

部局長たちは学長選挙取りやめに反対――選考会議の対立構図が明確に――
 こうした意見に対して、部局長を中心とした学内委員の方々が反対を主張しました。法人化後の激動のなかでも、大学のトップが学内構成員のいわば「民意」によって選任されているからこそ、教職員は彼を信任する立場から寝食を忘れた努力を継続することが可能なのだ。会議における部局長たちの発言は、こうした法人化後の現場の厳しい状況を踏まえたものでしょう。現場を知らない学外委員が「教育再生会議」に盲従して
(あるいは文科省からの出向官僚に動かされているのでしょうか?)、大学自治を敵視するのとは対照的であり、学長選挙をめぐっての「選考会議」の対立構図が明確となっています。

候補者推薦要件を100人以上規模まで増せばいい??――真意不明な西山理事提案――
 ところが、上記のように対立した意見を折衷しようとでも考えたのか、西山教育担当副学長・理事が次のような趣旨の不可思議な案を提起しました。いわく、
意向聴取の候補適任者となるために必要な推薦者の連署人数を、現行の15名から100名以上の規模にまで拡大すれば、選挙をしなくとも構成員の意向を反映したことになる。
 これは、有力な学長候補者が記名票を実力で集めて歩き、構成員一人ひとりにいわば「踏み絵」を迫ることを意味します。混乱と組織ストレスをいたずらに助長させるだけで、構成員の意向を正確に反映させる方法とはなり得ないことは明らかでしょう。西山理事がどのような真意で発言したのかは不明ですが、構成員の意向反映が重要だと考えるなら、現行の意向聴取制度を続ければよいのであり、それに何の問題もないことは上述の通りです。

このままの審議では不信感を募らせるのみ!――部局等で充分な審議を――
 上記の発言が出たところで第2回「選考会議」は2008年1月17日に予定されている第3回会議に事務局案が提示されることとなって、終了しました。
 『赤煉瓦』14でお伝えしたように、この間、複数の国立大学法人において学長選考をめぐる極めて深刻な混乱や紛争が相次いでいます。それらはいずれも「選考会議」の密室的専断に構成員が強く反発したことによるものです。もし本学でも同様の事態となれば、大学評価に影響するどころではなく、組織に致命傷を与えることになりかねません。
 各部局等は「選考会議」に一般構成員の意思を反映させるべく、この問題について教授会等で充分な審議を行い、部局長等はその審議結果等を以って来年1月17日の第3回「選考会議」に臨むべきです。

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