2008.2.4 |
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手のひらを返した!? 前学長 ——「学長選考会議」が新たな学長選考方法を決定—— |
選挙(「意向聴取」)投票は1回、得票数を公開 『赤煉瓦』№18(2007年12月4日)では、「学長選考会議」(以下、選考会議)において一部学外委員が学長選挙(「意向聴取制度」)の廃止を強硬に主張していること、本年1月に予定されている第3回会議で新たな学長選考方法が決定される見通しであることをお伝えしました。その後、当該会議は予定通り本年1月17日に開催され、事務局が提案した三つの「見直し検討案」のうち、次の手順による「B案」を新たな選考法として決定しました。
審議の状況 事務局が示した案には、上記(4)の段階で得票数を公開せずに(5)に進み、総得票数の10%以上の得票者または上位得票者4人を対象に選考会議が候補者を決定するという「A案」、意向聴取投票10%以上の得票者と、選考委員の推薦した候補の中から選考会議が選ぶ「C案」が含まれていました。 学長選挙廃止に反対する大勢の意見の前には、さすがに事務局側も選挙廃止案を提示することはできなかったのでしょう。そして、三つの案の中では選考過程の透明性が最も保証され、それによって選挙結果が尊重され得る「B案」が採用される結果となったわけです。 ちなみに、「教育再生会議 第二次報告」等を根拠として学長選挙廃止を強弁していた前学長の江口吾朗委員は、手のひらを返したかのように、教育再生会議の報告は何の参考資料にもならないと発言し、元文部事務次官の井上孝美委員は、なんと会議を欠席しました。あまりに無責任な態度といわざるを得ません。また、一部の学外委員が意向聴取の得票数・得票率を公開しない「A案」を支持しましたが、他の大方の委員が「B案」を支持したとのことです。 公正な選考には選考会議の説明責任が不可欠 この選考法は、民主的な学長選考に対する「外圧」のもとで最低ラインを死守したものと評価することができます。しかし、選考会議の裁量権が著しく拡大されたのも事実です。したがって選考会議には、構成員に疑問・疑念を生じさせることのない公正な選考過程を実現することが、強く求められます。 具体的に求められるのは、上記の(2)(5)における選考会議の「決定」及び「選考」の理由等について、選考会議自身が構成員に対するきちんとした説明責任を果たすことです。この点は第3回会議においても合意されてはいるようですが、客観的な規則等の形態で早急に構成員に明示する必要があります。 また(3)にあるように、意向聴取有権者には新たに助教が加えられたことは評価できます。しかし、教員数の多い部局が学長を輩出してきたという有権者分布のアンバランス構造は、従来より助長されることになりました。これをどう考え、選考方法を改善してゆくかも選考会議の今後の課題となるでしょう。 「選考会議」の透明性確保は部局長等の責務! ところで、本年度の選考会議に見られた学長選挙廃止を求める強硬な主張は、じつは以前から存在したようです。『赤煉瓦』№18(前掲)を読んだある元部局長=元選考会議委員は組合役員に対して、 「学長選挙の廃止を求める意見は以前から選考会議内に存在した。自分が委員の時には問題を荒らげずに選挙を存続させたかったので、意識して選考会議の審議内容を教授会には報告しなかった。組合がこのようなビラを出すと事務局から選挙廃止を主張する学外委員に伝えられ、良くないことになりはしないか」という趣旨の発言をしています。私たち一般構成員の知り得ない「密室」で、問題の火種がまかれていたのです。 元委員の、学長選挙を存続させようという意思は分かります。しかし、複数の国立大学法人で学長選考をめぐって発生している深刻な混乱や紛争の根本的要因については、まったく理解していないと言わざるを得ません。それらはいずれも、選考会議の密室的専断による不正常な組織運営に構成員が強く反発したことによるものなのです。委員である部局長が部局構成員に議事録等を示して周知させなければ、本学でも選考会議の「密室化」は避けらなくなるのは明らかです。 一般構成員が納得できる学長選考の実現なしには、改組と評価に揺さぶられる組織構成員に対して学長がリーダーシップを発揮することは不可能でしょう。選考会議の審議内容を教授会等に報告し、必要に応じて構成員の意見を聴取することは、選考会議委員たる部局長等の重大な責務の筈です。 |