2008.4.18 |
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働きやすい職場の実現を目指します |
1月29日,組合はまだ交渉を行っていない事項を中心に10項目の要求書を提出しました。この要求書に基づく団交が3月5日(報奨金問題のみ)と17日に行われました。このうち,任期制に関連する事項は赤煉瓦28 号で報告しています。このニュースでは他の項目について報告します。細かな要求項目もありますが,今後とも組合員の要望にこたえる形で様々な取り組みを展開していきます。なお,(1)と(3)については団交では取り上げず別途口頭で回答を得たものです。 【1】従来からの懸案事項 (2)職員の年休を利用した兼業について,報酬を得ることを認めること 従来,職員の学外での兼業は,たとえ年休を使って行ったとしても報酬を得ることができませんでした。工学部の教員と技術職員が同時に兼業を行った場合,教員は報酬が得られるが技術職員は得られないという状況がありました。組合は従来から,法人化によって公務員でなくなった以上,年休を取ってその時間をどう使うのかは原則自由のはずだとこの取扱いを止めるよう求めてきました。教養教育の学際科目で企業・公務員の方を講師に呼ぶ場合がありますが,手当を支給していないのは公務員の場合だけで,企業の方には支給しています。民間では認められるのが当たり前なのです。 従来の回答は「年休を取ったとしてもその時間の賃金は支払われているのだから賃金の二重取りになり認められない」というものでしたが「責任相関の観点を踏まえ,職員全体の兼業の見直しを行っている」と若干トーンが変わりました。しかし見直しの方向については「まだ出ていない」とのことです。要するに「検討中」です。 (7)外国人教師の任期については,大学教員任期制法を適用すること この項目については赤煉瓦28 号で紹介しましたので省略します。 (8)特定有期雇用職員が5年間で雇い止めにならないよう正職員化などの方策をとること 7 :1看護の導入によって看護師の数が大幅に増やされましたが,そのすべてが特定有期雇用職員としての採用になっています。これについて2007年採用の看護師のうち,20人程度が正規化されないまま雇い止めになるだろうとの見込みが示されました。特定有期雇用職員として雇われている看護師は将来への不安を抱えたまま働かざるを得ません。優秀な看護師,医療技術職員の確保に重大な支障を来たしています。 看護師を増やしたのに正職員の数を増やさない最大の理由は退職金問題です。法人移行時の定数に相当する職員の退職金は国から措置されますが,法人化後に独自で増やした者については退職金を法人として積み立てる必要が出ます。長期に雇用することになった場合,退職金の額が大きくなって対応できないというのが使用者側の理由です。 しかし,一部の大学では2007年度の採用時に正職員看護師の数を大幅に増やしています。また文部科学省は全大教との会見において,「2008年度は殆どの大学でこれまで任期付のところもほぼ正職員で募集すると聞いている」と答えています。この文部科学省の発言が事実なら,看護師の正職員化において熊本大学が他大学から取り残されていることになります。ますます優秀な看護師の確保は困難です。この事実を伝えても「見通しが立たない状態で踏み切れない。いろいろな形でシミュレーションしている。」との回答に止まりました。 組合は最後に,「正職員の枠を大幅に増やすこと,そのための退職金積立を行うこと」「国大協として看護師確保に関する予算措置について政府に働きかけること」の2点を要求しました。 (9)中央手術部の看護師に危険手当を支給すること (10)認定看護師に対する手当を新設すること 手当の新設については,人件費の効率化減の課題や他大学の動向,学内の均衡などから慎重に検討されるべきとして,明確な回答を示しませんでした。組合は他大学の事例を示しましたが,「資格を取られる方は病院だけではない」「手術部を特別扱いしているところは少ない」などと述べ「もう少し調査する」との回答に止まりました。 この要求は数年前から継続的に出しているものです。病院長も手当の必要性を認めています。しかしなお「検討中」だそうです。 【2】今年の活動の中で浮かび上がった課題 (5)獲得外部資金に応じた報奨金は,インセンティブの付与として極めて問題の大きい方策であり,再検討を行うこと 3つの論点に整理して団交を行いました。まず間接経費を財源とすることについては他大学でも例があり文部科学省も認めている問題ないとの見解でした。外部資金獲得額のみによる措置であることに対する批判については,今後教育面での貢献なども念頭に置いた表彰制度・報奨金を検討するとの回答が示されました。最後に,インセンティブ付与の方策について議論を行いました。組合は個別の活動について報奨金を出すことが様々な矛盾を生む。報奨金の形ではなく勤勉手当の総枠拡大の中で個々の教員の活動に報いるべきであると主張しました。そして報奨金総額を2008年度の勤勉手当予算に加えることを要求しました。 (6)改組を伴う予算申請を行う場合には,関係部局の構成員の意見を聞いた上で行うこと 留学生センターを改組し国際化推進センターを設置するという構想が,留学生センター所属教員にも知らされず,教育研究評議会にもかけられないまま概算要求されました。この概算要求は通りませんでしたが,学内措置で設置される予定です。これについて理事は「改組を伴う予算申請は関係部局構成員の意見を聞いて実施している。ただし,戦略的に迅速な対応が求められており,特に教授会機能が無いセンター等の改組については,学長・副学長・特別補佐・センター長の判断で,ある程度進行させることがあることは理解して欲しい」と述べました。組合は「緊急性が求められることは理解できる。しかし,国際化推進センターは全学の留学生教育に関わるので教育研究評議会できちんと説明する必要がある。それを抜きに予算要求できるとするのは誤りだ」と主張しました。 理事はあくまで迅速な対応が必要な場合にはある程度代表者だけで進めていくという立場に固執しましたが,この改組は教育研究事項に関わるので学内規則上は明らかに教育研究評議会の審議事項です。それを審議無しに予算申請できるとする根拠は何かと質したところ,理事は回答不能に陥りました。団交後に具体的な根拠を示すよう要求しましたが,その後の回答は「概算要求に緊急性がある」ということだけで,質問への回答はありませんでした。 法人化後,十分な学内検討無しに予算申請が行われたケースがいくつかあります。場合によっては末端の教職員に,予算が通ったのだから進めなければならないという形で負担を押しつけられます。その事業の問題点を指摘してももう決まったのだからと無視されます。多忙化の一つの要因であり,重大な問題として今後も取り組んでいきます。なお,この件についてはいずれニュース等で組合の見解を示すことにしています。 【3】組合員から寄せられた意見をもとに取り組んだ課題 (1)大学構内におけるAEDの設置を推進すること AED(自動体外式除細動器)は近年多くの公共施設に設置されています。2004年からは一般市民でも扱えるようになり,救命に効果をあげています。他大学でも設置が進んでいるところもありますが,熊大の黒髪地区には保健センターに一台あるだけです。これについて「学生部からの要求もあり学長も推進の立場である。予算措置,職員に対する研修などについて検討を行っている」との回答がありました。 (3)キャンパスを異にする用務(講義・会議等)について,1回につき1000円程度の手当を支給すること これは医学部教員からの声にこたえてまとめた要求です。要求書では手当としていますが,何らかの措置を求めるというのが趣旨です。これについて「手当にはなじまない。移動については基本的にタクシーチケットを使うことで実態を調査している」との回答でした。タクシーチケット代は部局の予算で支出されるのでこれで問題が解決したわけではありません。基本的にタクシーを使うことを確認したうえ,予算を抑えるための運用上の工夫(相乗りなど)を行う必要があります。 (4)外部資金による研究経費の取扱いについては,当初計画内容に配慮して行うこと これは医学部保健学科教員からの苦情に基づく要求です。市内の多くの事業所を調査に回るという内容であったにもかかわらず,市内では旅費が出ないと言われたのです。その後,規則上は行程8キロ以上であれば旅費が出ることになっていることが分かりましたが,規則と異なる運用上の慣習によって研究計画の遂行に支障を受けたことが明らかになりました。 外部資金は大学に寄付した上で大学の規則にのっとって使用されます。しかし,文部科学省は「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」の中で 「機関としてルールの統一を図る。ただし,研究分野の特性の違い等,合理的理由のある場合には,機関全体として検討の上,複数の類型を設けることも可能とする」と述べています。このガイドラインとまったく矛盾する事態が生まれていたわけです。使用者側は事務上の扱いの問題を認めるとともに,今後職員への指導を強化すると答えました。 いつになったら検討を終えるのですか。組合は要求実現に向けて今後も取り組みを続けます 相対的に拒否でもなく受け入れるのでもない「検討中」との回答が目に付きました。団交を申し入れてから1ヵ月半,使用者側はどんな検討を続けてきたのでしょうか。このような回答であれば10日後でも団交ができたのではないでしょうか。役員会の意思決定の能力の欠如を感じました。検討中とされた項目については団交継続中です。さらに実現に向けて粘り強く取り組みます。 なお,特定有期雇用職員の正職員化の要求を含め,非正規雇用の職員の待遇改善は「パートタイム労働法」の改正に伴い,重大な問題になっています.法改正に伴う要求として
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