No.4
2009.7.22
熊本大学教職員組合
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「見直し案」は人材確保策に値しない!?
−特定有期雇用職員雇い止め問題
緊急アンケートの結果から−

  『赤煉瓦』№2(2009.7.17)で特定有期雇用職員の雇用期限の「見直し案」について、作られた経緯と内容を紹介しました。また、そこでは特定有期雇用職員の意向を踏まえた内容にすることを主張し、組合としてアンケートに取り組んでいることを紹介しました。
  7月10日の特定有期雇用職員を対象にする説明会には、準備期間が短かったにもかかわらず、医療技術職員15名と看護師6名が参加しました。その後、参加されなかった方にもアンケート調査を行い、7月21日までに医療技術職員60名中46名、看護師約290名中176名の回答を得ました。きわめて短期間であったにもかかわらず、多くの方が回答くださったことは、特定有期雇用職員の方々がいかに関心を寄せているかを示しています。アンケートに回答して頂いた方々、アンケートの実施にご協力いただいた方々にあらためて感謝の意を表します。

見直し案は優秀な看護師・医療技術職員の確保につながらないことが浮き彫りに
 「見直し案」の内容とアンケート結果は裏面にあげておきます。ここでは調査結果から浮かび上がった事実をいくつか箇条書きします。
(1) 項目1で看護師で「正職員になれると思った/言われた」との回答が少なからずありました。医療技術職員でも男性に限ると12名中5名が正職員になれると期待して就職しています。
(2) 医療技術職員では条件さえ良ければ期限内であっても他の病院(正職員)に移るという回答が3分の2にのぼりました。看護師でも半数以上が他の病院に移ると考えており、5年の雇用期限は全うするという答えは決して多くはありません。
(3) WG見直し案による、契約更新について、契約するという回答は2割に達していません。半数以上が分からないと答えており、このままの案で制度化しても2011年3月末の契約更新時に深刻な状況がうまれる可能性があります。
(4) 見直し案への要求について、正職員化を求める声が多くありましたが、特定有期雇用職員では雇用期限の撤廃の要求が強く、看護師では年度ごとの評価の廃止の要求が強いという傾向があるようです。看護師は流動性が高く、延長できれば正職員化できるだろうとの見方もあるのでしょう。そこで、評価の廃止という要求が強いのだと考えます。一方、医療技術職員は職種も多く、すぐに空きポストができるとの保障は無く、せめて雇用期限だけでも外してほしいとの要求になるのでしょう。
  アンケートの結果は、正職員化(最低限、時期の明示)と雇用期限の撤廃が必要だということを示しています。評価の撤廃の声も多くあがっていますが、評価なしに更新することは基本的に期限を定めない雇用となるので、これも雇用期限撤廃の要求につながるものと考えます。

雇用期限、退職金、更新手続などについて不満の声
  自由記述欄にも多くの記載がありました。雇い止め問題に止まらず様々なご意見が寄せられており、今後の組合活動に役立たせていただきます。ここでは雇い止めの不安についての生の声をいくつか紹介します。
(1) 就職もあまり無いし、期限があるために長期計画(仕事にしろプライベートにしろ)も出来ず不安です。正職員採用も年に一人あるかないかぐらいで試験を毎年受けていくのもとても辛いです。(医療技術職員)
(2) 他病院と比較して給料が高いというわけではないので正職員化がないと大学病院への就職希望は減る一方だと思います。(医療技術職員)
(3) 結婚や出産などで正職員化の機会が減るのではないかと不安です。(医療技術職員)
(4) 現在は条件に対しての不満はない。しかし、5年も10年も特定有期雇用で働く事には納得できない。他の病院で働く事になって辞める場合は別として体調の都合や事情があって働く事ができない場合「退職金がでない」では困る。(看護師)
(5) 試験の時期も曖昧、履歴書を書いた数ヶ月後に小論文や面接といった曖昧な期間をどうにかしてほしい。結局その間試験のことを考えながら働くことがストレス。(看護師)
(6) 5年以内に必ず正職員になれると言われてはいったのに話が違う。現在も雇用面接で同じことを言っているのであれば、監督署に虚偽の雇用条件の口頭提示を改善するよう訴えるべき。(看護師)
(7) 他の病院で経験し、勉強をもっとしたくて当院へ来たのに正職員にもなれず、いつ解雇されるかもわからないままでは安心して看護のステップアップもできない。家庭を持つ人は大変だと思います。(看護師)

定員増・雇用期限の撤廃のための制度的障害はない

  アンケートの結果から正職員化に対する強い要求が浮かび上がりました。また、雇用期限の撤廃が無い限り抜本的な解決にはつながらないとの組合の主張の正しさも裏付けられています。

  では、なぜ正職員化ができないのでしょうか。
  確かに国家公務員時代は定数管理が政府によって行われていたため、大学が勝手に定員を増やすことはできませんでした。しかし、法人化後は政府からの定員管理を受けていません。定員増を概算要求するということもあり得ません。定員を増やそうとするならば大学として判断するしかないのです。大学が政府から求められているのは人件費の削減であって定員削減ではありません。
  特定有期雇用職員の賃金面の待遇は正職員と殆ど同じですから、その部分の人件費増は生じません。実際、いくつかの大学では正規の看護師を大幅に増やしています。法人化とともに定員枠という正職員増を阻む制度的障害は無くなったのです。
  次になぜ雇用期限の撤廃ができないのでしょうか。
  フルタイムの定員外職員の雇用期限を3年にするという制限は、定員外職員の長期化防止策として政府の指導により作られたものです。しかし、この指導も法人化とともに意味を失いました。2006年度から熊大でも5年まで延長できるようになったのは、更新回数の制限については大学として判断できることになったからにほかなりません。
  民間では更新回数に制限をつけない例や、非正規の職員を期間を定めない形で雇うことも広く行われています。労働契約の期間をどうするかは大学の判断で決められるようになっており、雇用期限を撤廃できない理由はありません。

使用者は当事者の意向を踏まえて「見直し案」を再考すべき
  アンケート結果により「見直し案」が人材確保策とはとてもいえないこと、抜本的改革のためには正職員数の拡大と雇用期限の撤廃が不可欠なことが明らかになりました。さらに法人化によって正職員数の拡大と雇用期限の撤廃のための制度的障害もなくなっています。
 7月7日の学長との懇談において、組合は附属病院と当事者たちの意向を踏まえて最終的な方針を決めるよう求め、学長も基本的に同意しました。またこのアンケート結果は7月21日付で使用者側に提出しました。使用者側にはこのアンケート結果を参考に、特定有期雇用職員の雇用期限の見直し案の再考を行うよう求めます。
人事制度改革WGの「見直し案」
現行の5年までの雇用期限を維持しつつ、5年ごと雇用期限を延長することができることとする。ただし、有期雇用職員の雇用期限の延長とは異なり、学長への協議は不要とする。
雇用を延長したものについては、毎年度、態度・能力等の評価を実施する。評価の結果、勤務実績及び勤務遂行能力が十分ではないと認められる場合は、延長された5年の期間中であっても、当該評価を受けた次年度の雇用延長は行わない。


特定有期雇用職員の方へのアンケート集計結果
2009年7月実施  7月22日集計

質 問 項 目 医療技術職員 看護師 合計 222/350
回収率63.4%
46/60名 176/290名
1)特定有期雇用職員として熊大附属病院に就職された理由は何ですか?(複数回答可) ア. 総合病院だから 21 80 101
イ. 地元の病院だから 16 67 83
ウ. 熊大附属病院で勉強したかったから 36 77 113
エ. 他の病院に就職するまでの生活のため 1 4 5
オ. 正職員だと思っていたから 0 12 12
カ. 数年たてば正職員になれると言われたから 1 63 64
キ. 数年たてば正職員になれると思ったから 5 44 49
2)特定有期雇用職員の期限(5年)内に他の病院で正職員採用される話があったらどうしますか?(一つを選択してください) ア. 条件が良ければ,他の病院に就職する 29 93 122
イ. 条件が悪くても,他の病院に就職する 1 10 11
ウ. 正職員になる可能性が示されていれば,雇用期限をまっとうする 11 63 74
エ. 正職員になる可能性が示されていなくても,雇用期限をまっとうする 5 14 19
3)特定有期雇用職員の期限(5年)後,どの条件であれば再契約しますか? (一つを選択してください) ア. 正職員であれば契約する 24 120 144
イ. 正職員になる可能性が示されていれば,特定有期雇用職員であっても契約する 15 45 60
ウ. 正職員になる可能性が示されていなくても,特定有期雇用職員として契約する 8 4 12
4)下記の人事制度改革WGの見直し案(5年の期限後は五年ずつ延長する)であれば,特定有期雇用職員として再契約しますか? ア. 契約する 13 27 40
イ. 契約しない 10 40 50
ウ. わからない 23 110 133
5)人事制度改革WGの見直し案に最低限求めるものは何ですか?(一つを選択してください。無理な場合は複数回答可) ア. 雇用期限(5年)を撤廃すること 20 28 48
イ. 毎年度ごとの評価を廃止すること 6 47 53
ウ. 正職員になれる時期を示すこと 14 60 74
エ. 正職員化すること 17 89 106


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