No.29
2010.2.25
熊本大学教職員組合
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E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp
組合ニュース NO. 17 熊本大学教職員組合医学部支部
2010. 2.25 内線 5858 メール m-kumiai@union.kumamoto-u.ac.jp
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諸手当の増額・新設等の必要性を
附属病院長が認める!
--二交代制試行に関する意思確認方法に
大きな問題があったことを認め,改善を約束--
2 月4 日、病院長交渉報告

  
2 月4 日、附属病院長交渉を行いました。これらの要求項目には、 2009 年度の給与引き下げに対する代償措置(不利益緩和措置)としてすでに組合が要求しているものも含まれています。このニュースでは、まず、代償措置としてこれまでに要求してきた項目を先に、次にその他の項目に関する交渉の主な内容を報告します。

組合の要求項目1. 「特定有期雇用職員の正規職員化、待遇改善」
  この問題は、今年度の大会でも確認した組合として取り組む最重要課題の一つであり、本部でも団体交渉を重ねてきている事項です。組合は、使用者側に対して昨年内には方向性を決定・提示することを求めていましたが、検討は続いており、組合としても最終決定の提示を待っている状況です。当事者の方々はもちろん、多くの方々が関心を持って見守っている懸案ですので、最終内容の提示があり次第、この間の交渉の経緯も含め、直ちに速報ニュースを発行する予定です。

組合の要求項目7. 「手当の増額、創設」
1)夜間看護手当の増額
2)主任、師長、副師長に対する職務手当の創設
3)危険手当の創設(中央手術室、放射線業務に対して)
  
これらの項目については、本部との団交において、時間的に今年度内の実現は無理だが、実態調査も含め検討・協議を続けていくと使用者側が回答しています。病院長の回答は、以下のようなものでした。
病院長の回答
1) 夜間看護手当の増額:金額の見直しについては財源等の制約もあって病院だけで議論することはできないし、決定することもできない。来年度以降、長期的な視点を含めて検討していくことが必要な事項だと考えている。
2) 主任、師長、副師長に対する職務手当の創設:7 対1 看護の導入で看護職員も増えたことにともない、新人を教える指導的立場にある中堅の方々が大変だということは認識しているが、手当の財源については、病院だけで決められることではない。本部と検討していきたいと考えている。
3) 危険手当の創設(中央手術室、放射線業務に対して): 危険手当の創設については手術件数も増えているので、体液等に曝露する機会も多いというのは私自身も重々承知している。当然、手術が増えれば危険性は増してくる。いろいろな対策はとっているが、確かにそのようなリスクというのは他の看護師に比べたらあると認識している。その業務の実態を把握して、その何らかの手当を支給する必要があるということは今後検討していきたいとは考えている。放射線に曝露される危険性がある看護師さんについては、今後検討していく。

組合の要求項目8. 「パートに対するボーナス支給」
  これは、病院職員に限らず、熊本大学で働くすべてのパート職員に対してボーナスを支給するよう組合が本部に求めている要求項目でもありますが、今回の交渉で、病院で働くパート職員に対するボーナス支給を病院としてどう考えているのかを質しました。
病院長の回答
  これに関しても、先ほどの項目と同様で、大学全体として検討する事項だと思っており、ここではどうするとは申し上げられない。

組合の要求項目9. 「有期雇用職員(フルタイム職員)の月給化」
  この項目に関しても、余剰金を充てれば実現は可能だと組合は考えています。人材確保の観点からも、より安定した大学(病院)運営に対するメリットがあるはずです。
病院長の回答
  日給制で月によって変動がある、職種等によっては人材確保という点で一つのハードルになる可能性は認識している。固定給による給与の支給がより勝るのではないかということは認識している。しかし、これも大学全体での議論が必要と思っている。全部というわけにはいかなくても、ある職種、雇用条件等で対応する条件があるのかどうか、大学全体で検討していかないといけないと思っている。
  有期雇用職員の方々の中には、正規職員と同等の仕事をされている人が多いということは、使用者側も知っているはずです。少しでもより良い労働条件に改善し、やりがいを持って仕事に従事していただける環境にすべきです。 また、パート労働法が改正され、人事院も各省庁に対して支給を努力するよう求めているにもかかわらず、パート職員へのボーナス支給は未だに実現していません。
  たしかに、以上の回答から、病院長も組合の要求を理解し、その実現の必要性を認めているということが分かりました。ただし、財源の問題があり病院だけでは決められないという点に関しては、今回の給与引き下げで生じた約3 億円という余剰金(給与引き上げがない限り来年度以降も発生し続けるもの)があり、それを「人件費として使うことを基本とする」労働協約を締結しており、充分な財源があります。組合は病院長に対して、組合はこれからもこれらの要求実現を求めていくが、病院としても職員の労働条件の改善、及び、優秀な人材確保の観点から本部へ要求を出すよう求めました。
  ここまでの項目が、すでに使用者側に実現を要求してきているものです。以下では、その他の要求項目と病院側の回答を報告します。

二交代制試行に際した意思確認は匿名性のあるアンケートをすると看護部長が確約!
組合の要求項目4. 「看護師の夜勤体制」

  看護師の夜勤体制については、人数は最低4 名(二交替では最低5 名)、回数は1ヶ月で一人8 回以内(二交替では4 回以内) となるよう早急に体制を整えることが必要です。夜勤体制の改善で人材確保も容易になり、看護のレベルのアップにもつながります。
看護部長の回答
  7 対1 看護体制になって増員がかない夜勤人数は1 人から2 人各部署で増やすことができた。夜勤回数は、人数を手厚くした分夜勤の回数としては増えている状況。2007 年が平均で8。7 回、2009 年度は9。1 回となっており、1 人から2 人看護師を増やせていて現場では夜勤体制は充実してきたのではないかと思っている。24 時間重症の方(患者さん)を抱えているのでこの数ではまだ充分だとは思っていないが、他の大学病院と比較してみても国立大学病院はどこも経営困難ということで、増員はこれ以上難しいのではないかとも思う。しかし、現時点では最大限努力をしていると思っている。

組合の要求項目5. 「年休の計画的な取得」
  組合の調査では、看護師一人平均5。9 日。病気や院外研修に年休を使った日を除くと4。7 日。昨年度と変わらないままです。また、時間休でとっている方が多い、年休を希望しても週休になったり、病棟によっては希望しないでください、と言われる実態があります。病棟によって、取得日数にも差があります。計画的に取得させる、また、取得できないような職場風土をなくすよう改善を求めました。
看護部長の回答
  希望しないでください、というのは初めて聞いた。年休は取れる時には取ってくださいとお願いしている。1 時間でも2 時間でも取れるなら時間休でもいいのであげてくださいと看護師長会議でお願いしている。それで7。5 日という数字になった。これにあわせて今まで研修を年休で行っていたものを研修で行けるようにしている。その分、実質自分の時間が増えてきていると考えている。教育に力を注がなければいけない時期(4 月から6 月)があり、1/5 の新人看護師が病棟にいなくて看護配置をしなければならないため、先輩達が無理をするという状況があり希望しないでくださいと言っている病棟の状況があるのかもしれないが、年休を取らない(希望しない)で下さいということの理由の把握はできていない。私も情報収集をし、解決にむけて人員配置等にも努力して行きたい。

組合の要求項目6. 「超過勤務問題」
  採用1 年目の新人は入力していないという現場の声、超過勤務をしても2 時間以上はつけないでと師長が発言しているとの情報が組合に届いています。また、始業時間に動くことができるように、時間前に早く来て情報収集をしている実態がありながら、超過勤務として反映されていません。
  出席が義務づけられた講演会(安全、感染)は勤務とみなされるはずですが、休日に勤務した場合に記入、提出することになっている休日・早出勤務命令簿の様式があることが周知徹底されていません。休日・早出勤務命令簿の周知と提出を徹底させること、看護師の超過勤務となる項目を明確にすることを求めました。例えば、国立循環器病センターの看護師の過労死裁判の判決項目として、始業前の情報収集、看護研究、プリセプター業務、新人看護師の指導、看護計画、退院時のサマリー、チーム会議、消耗品係、クリティカルパス勉強会、研修会、大掃除などがはいっています。業務に関連するものについては全て超過勤務とするよう求めました。
看護部長の回答
  2 時間以上つけないでくれと言ったのは誤解があると思う。例えば、日勤深夜の勤務だと勤務と勤務の間を5 時間以上空けないといけないという規則があり、2 時間以上超勤をすると5 時間以上空けられないので2 時間以上の超過勤務は避けてください、帰ってくださいと言ったことが、誤解を生じさせているのかと思っている。新たにきちんと説明をしなければいけないということで先日そういう話をした。2 時間以上つけないでくださいという受け止め方をしているのであれば、看護師長達も言葉足らずだと思う。その点については今後改めて行きたい。1 年目の看護師は入力しにくい状況があるということだが、1 年目だろうと入力してくださいとお願いしている。私も超過勤務を見ており、遠慮するのは困るので、師長達に新人といえども入力するように言ってくださいと言っている。組合の代議員は若い方が多いのでそういうことが上がってきているのなら、新たにこちらからも師長達にお願いする。4 月に看護部長講演があるので全職員に向けて話をしていきたい。
  休日に関しては病棟での研究会や病棟集会等が自分の休みの日に重なることがある。早出・休日勤務命令簿を前もって出してもらうことにしているので勤務扱いになる。また、ご存知でない方も中にはいらっしゃるかもしれないので、こちらからも改めてメッセージを発したい。

組合の要求項目2. 「医療職員の増員」
  病院長から昨年12 月のヒアリングの際に各部署から増員の要望があってリハビリテーションでは4 名、中央放射線部では1 名の増員という情報がありましたが、増員で心配するのは、看護師の場合第3 次募集までかけており、看護師の集まりによっては東病棟の目玉であるHCU やGCU の開設が難しいとの話も聞いています。今の募集状況はどうなっているか、説明して下さい。
病院長の回答
  看護部に関しては先ほどもあったが、7 対1 にしたこと、それから当然だが、毎年増員要求、育児休業等の欠員が発生するので随時調整を図って中途採用を行ってきている。今年度は13 名だった。ヒアリングでは、実際に人員配置、職員に対する要望が非常に沢山でていた。医師はもちろんだが、看護師、コメディカル、事務を含めてたくさんの要望がでてきている。できれば全てに対応して人を増やしたいが、財政的な問題で増やしたことに伴う人件費と収益という言葉が妥当かどうかわからないが、それに伴う費用の捻出を詳細に考えながらやっていく。結果的に、今年度は既にリハビリテーション4 名、中央放射線部で技師1 名を増員することを決めている。両方とも4 月1 日付での採用となる。今年度ではないが、そのように増員すると決めた部所もある。これからも要望は継続してでてくるので、その必要性を考えながら、費用対効果も充分考慮しながら、継続して採用していきたいと思っている。

組合の要求項目3. 「二交替制問題」
  西-5、6-4 病棟で二交替制試行導入する際に行なわれた病棟相談会の中で行われた、挙手をさせたり、本人達に署名を求める意見の集約の方法は強要であり、不法行為の可能性もあります。意見の集約についてはきちんとした匿名性が保障されたアンケートにすることを約束して下さい。また、試行に入る際は、2009 年8 月28 日付で組合が提出した「看護師の二交替制勤務の本格導入にあたっての回答と要望」にあるように、十分な人員配置が行われた上で行うことを要望します。
看護部長の回答
  わかりました。軽率だった。病棟のほうでは皆がこういう意思で二交替をしたい、との意思表示のつもりで名前を書いたのだと思う。それが強要だということになるのであればいけないと思うので改める。今後はきちんと匿名性が保障されたアンケートを取るということを約束する。

その他の要求項目
1.こばと保育園周辺跡地の駐車スペースについて

  2008 年1 月28 日の病院長交渉で妊婦さんにパスカードを解放してはどうかと要望しましたが、その後、特例扱いはできないということでした。今年、こばと保育園の園庭を駐車スペースにすると聞いています。ぜひ、再検討をお願いしたい。
病院長の回答
  今、こばと保育園周辺の工事をしている。そこを妊婦さんに割り当てようという話になっている。いつ完成してどれくらいの条件になるかというところまでは把握していない。確認する。

2.設備管理係の外注業者交替について
  6 月20 日、2 分の停電で、その復旧作業に2 時間半もかかるという問題がありました。安全面で非常に不安があります。来年、現在の請負業者との契約はどうするつもりですか。
事務部長の回答
  
設備の業者のことは現在検討中。今以上のレベルを求めるような仕様書を作成している。おっしゃっていることは充分わかっている。昨年から現場とも話している。院内の環境が安全に保たれるということを前提に全ての仕様内容を確認している。

今回の交渉の成果と今後の課題
  以上、病院長交渉の内容をお伝えしました。交渉の成果をまとめれば、次の3 点になります。
  1. 多くの要求項目に関して、財源の問題があるとし、病院だけでは対応できないという回答ではあったものの、改善が必要であるという点においては、病院長(病院側)が組合と共通認識を持っているということを確認することができた。今後、組合は、引き続き代償措置の実現を求め使用者側本部と交渉していくが、病院側からも本部に対して要求を出してもらい、足並みを揃えて要求実現に向けて運動を展開する足場となった。
  2. 二交替制問題においては、組合との合意を反故にする形で行われていた意思確認のやり方に問題があったことを認めさせ、匿名性を確保した本来あるべき「アンケート」とすることを確約させた。
  3. 「年休の計画的取得」、「超勤問題」、「夜勤体制」といった、病院独自の努力と工夫によって改善できる点について、あらためて問題点を指摘し、病院側に改善を約束させた。
  このように、実り多い交渉ではありましたが、財源を伴う諸課題については、代償措置獲得に向けた本部とのこれからの交渉がその重要性をさらに増したということになります。また、組合員以外の病院職員の方も、病院側が改善を約束した事項が本当に改善されているのか、改善されていくのかを注視し、改善が見られない場合には、その実態をぜひ率直かつ速やかに組合にお知らせ下さい。
  なお、以前、組合ニュース(『赤煉瓦』No.36、 2009.6.10)でお知らせした「個別契約職員問題」については、組合から使用者側に対して交渉を申し入れており、団体交渉の開催を待っている状態です。交渉を行い次第、内容をお伝えします。

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