No.51
2003.6.9
熊本大学教職員組合
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国大協総会で「国立大学法人法案」
に対して見解を示せ!

緊迫する国会情勢
  「国立大学法人法案」は現在参議院文部科学委員会で審議され、6月12日(木)には委員会採決が行われるとの情報もあり、予断を許さない状況にある。そのような中、首都圏ネットワークから寄せられた情報によれば、5月30日の国大協理事会は、6月10、11日に開催される定例総会で、(1)法案に関する議論は行わない、(2)法案成立後に臨時総会を開催し、国大協としての要望を議決する、との長尾真会長、石弘光副会長らの執行部方針を了承したとされる。これは国大協としての責任を放棄するものであり、到底認められるものではない。われわれは、国大協理事会の決定に強く抗議するとともに、6月6日、長尾真国大協会長に対して、国大協理事会での 議事選定を撤回し、総会で「法案」について総意を問い、見解を対外的に表明すること、総会で「法案」の問題点を確認し、この法案を支持しないことを表明するよう、申入書を提出した。

国大協としての責任を回避する執行部
  国大協執行部はこれまで「法案」をめぐる対応を、法人化特別委員会と理事会内に止めてきた。 そもそも2月24日の理事会では、「国立大学法人法案の概要」について24の大学から批判や疑問が出されたことを受け、「臨時総会を開催して議論することも視野に入れて対応を検討する」と長尾会長は総括を行ったはずだった。しかし、4月17日に開催された法人化特別委員会は、「法案」について「おおむね了承し」、5月7日には「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等について(検討案)」なる文書を国立大学長に送付するなど、法案の成立に向けた動きに終始している。しかし実際は理事会においても意思統ーは得られておらず、5月30日も、数名の理事から、「国立大学法人法案には色々批判が出ているのに、執行部は何も対応していない」という批判が相次いで出されたという。にもかかわらずこの間臨時総会は開催されないままである。

国会審議に与える影響
  遠山文部科学大臣は、4月3日の衆議院本会議において「国大協にはずっと説明してきており、 理解してもらっていると考えている」と答弁している。総会で総意を明確にしない国大協の姿勢が、「法案」に対する国立大学側の見解に関して、文部科学省に強弁を可能とさせているのだ。また、4月23日の文部科学委員会に参考人として出席した石氏は、国大協の副会長として国立大学の了承はとれているのか、という質問に対して、「とくに反対の意思は出ていない」と事実とはまったく異なる答弁をしている。
  このように文部科学省、国大協執行部は国立大学側が「法案」を受け入れていると国会で回答しており、国大協執行部が6月10、11日に開催される定例総会で法案に関する議論を行わない理由は、総会で異論、反対意見が出され、国会審議に影響を与える事態を避けようとする以外は考えられない。

組合の「要望書」に対して学長が回答
  法人化特別委員会からの「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等について(検討案)」という文書に対して、われわれは違法行為を企図するものとして批判を行ったが(赤煉瓦N0.47、5月13日)、熊本大学としての回答が(赤煉瓦50、5月30日)、5月30日の学長懇談の際、明らかにされた。
  それは、「諸法令の適用に関しては、当面は、各大学が法人化ヘ移行する経過的期間であることに鑑み、その準備が整うまでの一定期間、弾力的な運用が図られるよう」とする法人化特別委員会の文案に対して、「法令が新たに適応されることとなることを踏まえ、国立大学法人が法人として責任ある対応ができるように政府として必要な措置のための最大限の努力」と変更するものであり、極めて妥当なものである。われわれは、この点について問題意識を共有する学長に対して、6月6日付けの「要請書」で、6月10、11日に開催される国大協総会において、総会で 「法案」の問題点を確認し、この法案を支持しないよう要請した。

  「国立大学法人法案」は、国大協として「了承」した調査検討会議の『最終報告』から大きく後退しているだけでなく、国会の審議の過程で重大な問題点が明らかにされている。6月10、11 日に開催される総会で、国立大学として法案に関する検討を真撃に行い、総会として法案への見解を対外的に表明することは、高等教育に責任を負う主体としても、社会への「説明責任」という点でも、きわめて重要である。法案審議の山場にあって、将来に禍根を残さぬよう、国大協がその責務を果たすことを重ねて要求する。

レファレンダムに投票を!

「国立大学法人法案の賛否を問う国立大学全体投票」の
第二期(5/10-4/13)締切迫る。

6月8日時点、賛成89票(2.6%)、反対3278票(97.4%)

 

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