2008.8.6 |
||
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp |
改めて要望書を提出しました。 |
7月9日の第一回執行委員会でスタートを切った2008年度執行部ですが, その四役は, うだるような暑さの中, 7月28日(月), 学長挨拶に臨みました。使用者側の出席者は, 撝元学長をはじめ, 森人事・労務担当理事ほか, 労務安全課課長以下4名の職員でした。本ニュースでは, そのときの模様をお伝えします。 "建設的ではない"!? 2006年3月の団体交渉以来, 学長の交渉への出席は皆無という状況が続いている中, 組合はまず,「学長自身の判断が不可欠な団体交渉」の場には, 学長が必ず出席することを求めました。 それに対し, 学長は組合との話し合いはどうも"建設的ではない"と決めつけ, 立場の違いは歴然としているということ, 各交渉には権限を委譲した然るべき人物をたてていることなどをあげ, 交渉への出席に消極的な姿勢をにじませました。 この間, 例えば, 労働委員会の調停を経てようやく実現した, 五高記念館准教授ポストへの任期制導入問題に関わる団体交渉では(詳しくは, 2007年度『赤煉瓦』No.28をご覧ください), 使用者側の出席者に, 当該人事を議論する委員会の構成員として五高記念館館長ただ1人しか出席せず, 根本的な任期制導入の適否を問う組合に対するその答弁は, 任期制導入は委員会の決定であり, 交渉の場において個人では発言できないというもので, それではいったい何のために交渉に出てきているのかわかならないような事態が起きていました。当該委員会の長は学長なのですから, 学長自らが交渉の場に出席して, 自分の言葉で, 組合に対して誠実に回答することは学長の義務と言えます。そして, その交渉が建設的になるかどうかは, まさにその交渉の中で決まることであり, 出席という最初の一歩なくして, いったいどこに交渉の建設性を求めろというのでしょうか。また, 学長は出席者に権限を委譲しているということですが, 上記交渉例のように, 内実はまったく違っています。 組合は、学長にすべての団体交渉に出席することを求めているのではありません。ただし, 賃金問題・学長預かりポスト・学長裁量経費・五高記念館や外国人教師などの任期制問題等についての交渉においては, 特に学長自身の見解が必要不可欠ですので, 組合は学長の出席を強く求め, 来年3月までの﨑元学長の在任期間中に, 何としてもこれまでの未解決問題に決着をつけることを望みます。 財政的に非常に苦しい中、大学運営に努力している 7月25日に, 財務省は2009年度予算の枠組みとなる概算要求基準(シーリング)をこれまでの1%枠(対前年度予算比1%減額)から「3%」(熊大の場合、約3億6千万円減)に拡大する方針で, 運営費交付金がさらに削減されるだろうという情報が組合に入ってきました。結局, 7月29日の閣議でこの3%削減案は了承されてしまい, 全国の国立大学法人はさらなる苦境に立たされることになります。学長は, 28日の時点で, 閣議決定は不可避と見て, 今後は削減された額から, 削減の根拠となった, 特に医学部・病院関係への医師確保対策の重点配分枠でどれほど回収できるかにかかっているとし, 次回のシーリング決定の際には, 今回の枠の撤廃を求めていくとしました。組合は, この減額措置について福井大学学長が県知事に要望書を出したことを学長に伝え, 熊大でも国大協や県知事に要請行動をするように求めました。学長は, 昨年熊本で行われた全国知事会議に触れ, そのような行動もしてないわけではないとしましたが, その効果については疑問視しているようでした。ただ, 熊大にとって, 県との連携は必要であるとの認識も示しました。 さらに, 学長は, そんな厳しい財政事情がある中, ペナルティを付けて科研費申請を増やしたり, 熊大基金へ呼びかけたりして(これらに対しても学長は, 組合が反対していると考えているようですが, この制度自体に反対しているのではありません。その制度の運用の仕方に問題があるとしているのです), 何とかやり繰りをしているのが現状であり, また, 例えば, 組合は地域手当を支給しろと要求するが, そうすると教育・研究費を削らざるを得ないがそれでいいのか, とも発言しました(正確には, 我々は, 「地域手当」を, とは言っていません。ここにも, 学長に組合の意図がきっちり伝わっていない状況を見て取ることができます)。組合としては, 熊大の財政状況が厳しいのはわかっています。しかし, だからと言って, 労働に見合う正当な報酬を手に出来ない職員が大勢いる一方で, 異動でやって来る一握りの幹部職員などには, その確保のためと称して特別手当を支給するなど, 是正すべき点は多々残されています。組合は, 切り下げられた給与をいかにして回復していくのかを, 学長との直接交渉の中で粘り強く訴え続けていきたいと考えています。 熊大として発展して行かなくてはならない 学長は, また, 基盤的な大学運営経費がますます減額されていく中, 逆に競争的資金の割合は膨らむ一方という状況下では, 熊大は今後も様々な独自の企画を打ち出し, それら競争的資金を得ることにより, 大学として大きく発展して行かなければならないと述べました。そのキーワードのひとつである「国際化」について, 学長は, これは熊大の発展には不可欠のもであると思うが, 組合がそれに反対するのはいかがなものか, という趣旨の発言をしましたが, どうも大きな誤解をしていると言わざるを得ません。『声明 専断的かつ恣意的な大学運営に抗議する-国際化推進センター問題をめぐって-』(2008年5月15日)の内容をよく読めばわかるはずなのですが, 組合は「国際化」そのものに反対しているわけでは決してなく(もちろん, その中身も全学ルールに則りじっくりと検討されるべきと考えますが, それにもまして), そのような施策を実現する際の「手続き」の明らかな不備を問題にしているのです。全学委員会では, 熊大の国際化に関するWG案は, 報告事項ですらない項目で軽く触れただけで済まされ, もしこれに対する予算措置がなされたならば, その僅か5ヶ月後には, 人的異動・配置換えも含めた, 全学を巻き込む大々的な計画が実施されることになっていた点を, 組合は問題視しているのです。結局, この計画は, 予算措置がなされなかったために, 一時頓挫しましたが, 現在は学長裁量経費で実施すべく引き続き検討が続けられています。そしてそのWG案スケジュールによれば, 8月から国際化推進センターが稼働することになっていますが, 未だに各部局には何の音沙汰もありません。この点を組合が糺すと, 学長は, これはまだWG案だからフィードバックをしていないような口ぶりでしたが, では, 以前の08年4月実施案にもし予算が付いていたら, 実施していたのかどうかを問うたところ, 学長は, そのつもりだったと回答したのです。このことで, WG案とは言いながら, その実それは完全にできあがった, 短期間ではほとんど修正の余地のない計画であり, 予算さえ通れば, 有無を言わさず実行されたであろうことが明白になりました。非常に短期間の内に, 実質的な学内合意も一切取らず, 議論もさせず, 熊大の発展のためという金科玉条をかざし, 予算が付くことを最強の免罪符にして, 現場での混乱やそれに付随する様々な不利益状況を顧みず, その実行を迫る大学執行部のやり方に組合は反対しているのです。 我々は, 学長のリーダーシップとか, 素早い対応などといった言葉に幻惑されがちですが, しっかりとした学内合意や徹底した議論を軽視して物事を進めていけば, 必ずや大きな障害に遭遇することは明白です。むしろ逆に, 議論をオープンにし, その中で多くの熊大教職員が十分に個人個人の力を発揮できるような計画にしてはじめて, 熊大を大きく発展・飛躍させることに繋がるのではないでしょうか。 学長は組合との交渉を"建設的ではない"と言いますが, 以上のことからわかるように, どうやらそれは, 組合の主張が学長にうまく伝わっていないことから来る誤解に基づいている部分も多いようです。ですから, そのような誤解をなくし, 建設的な議論をするためにも, 学長には, 必要な交渉には必ず出席してもらわなければなりません。 この挨拶の後, 組合は以下の要望書を学長に提出しました。
|