No.52
2002.6.14
熊本大学教職員組合
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6月4日、学長懇談がようやく実現


−学長は、国大協総会で「法人化」案に賛成!−

2001年度学長懇談報告
日時: 2002年6月4日(火)14:00〜15:00
場所: 熊本大学学長室
出席者: (当局) 江口学長、長木事務局長、糸永総務部長、熊谷人事課長、大塚人事課長補佐、石坂専門員、黒木職員係長
(組合) 市川副執行委員長、木村書記長、斎藤書記次長、奈須執行委員、野田書記

(当局)(組合)それぞれ自己紹介。
(学長) 項目ごとに進める。はっきりしているのは、教官と事務官が一緒に努力しないと大学が消えてしまうということだ。

1. 看護婦増員及び待遇改善について
(1) 充実した2対1体制を確立するために看護補助者を1フロアーに複数配置すること。
(2) 増員によって充実した看護体制を実現して労働条件を改善すること。

(組合) 資料赤煉瓦No.40を見ていただきたい。昨年度から2:1看護体制が取り入れられたが補助の仕事をしている病棟婦を大幅に削減する事が行われた。昨年の病院長交渉で看護婦の仕事は増えないといわれたが、大幅に増えている。赤煉瓦No.41を見てください。リスクの高い時間帯つまり食事時に業務が重なる。病棟婦が削減され配膳を看護婦がするようになった。医療事故の観点からも問題だ。赤煉瓦No.39を見てください。切迫流産が続発している。ICUの看護婦が来ているが、夜勤が多い部署で、3人が切迫流産になった。原因の一つに夜勤回数の多い事が挙げられる。申し出れば夜勤免除できる事になっているが、申し出にくい。二度と起きないよう対策をお願いしたい。
(組合) 病棟婦が削減され看護婦が増えてよかったとぱかりは言えない。2:1になり看護婦が23名増えたが病棟婦が減らされ、病棟婦の仕事を看護婦が担う事になった。アンケート調査の結果、26科のうち18科で業務が増えたと回答がある。回収率は80%以上だ。対応策がないまま今日に至っている。
(学長) 適正な業務量というのがある。病院長とも意見交換しているが、看護婦体制については看護婦が仕事をしやすいように、私立大に比べ看護婦が圧倒的に少ないその中て実績を上げないといけないので努力している。文科省も人員配置については配慮してくれている。切迫流産が起きる原因はいろいろあるが、自分はそれの専門家だが、ここではそのことに時間は取れない。末端まで手当できていないのか。同じ職場で代わってやる事はできないのか。
(組合) 夕方に業務が多い。超勤が増えているのに病院側は超勤が増えた理由がわからないと答えている。
(学長) 病院長・看護部長はなんと言っていましたか。
(組合) 患者数を増やしたり、稼働率を上げたりしてがんぱっているといっている。
(学長) 原因が何処にあるのか病院長に尋ねてみる。何処に原因があるのかわかっているなら指摘してはどうですか。
(課長) 病棟婦を削減した数と看護婦が増えた数のバランスが取れてないということか。
(組合) 病院側がら超勤が増える一方と言われた。ベッドの稼働率が上がっている。
(学長) 病院全体として成績が上がっている。病院の将来を考えた上で問題を提起して欲しい。
(組合) 看護婦の犠牲により成績が上がっている。
(学長) 熊大の看護婦も市井の看護婦も忙しさの度合いはあまり変わらない。国立大学が過酷な条件にあるのは確か。文科省当局とも掛け合っている。病院だけ特別配慮している。病院長の苦汁も配慮して欲しい。大学当局と組合はもっと血の通った交渉をしないといけない。
(組合) 病院側が原因が分がらないと言っているのは、本当は原因が分かっているにもかかわらず、組合からの突っ込みを恐れて、言わずにいるのではないか。
(学長) 病院側はもっとがんはって実績を上げて欲しいと言う事ではないか。病院長によく聞いてみる。
(組合) 配慮がなされるよう努力して欲しい。
(組合) 熊大病院は平均在院日数が減っている。入退院が多いので看護婦の仕事が増えている。病院長会議でも指摘されている。
(学長) 病院長が苦労しないように、大学当局がしないといけない。

2. 国立大学の構造改革方針について
(1) いわゆる遠山プランにおいて「大学の再編・統合」「トップ30大学重点化」が掲げられているが、この問題に対する学長の見解ならびに本学での具体的な対応についての考えを示すこと。
(2) 大学の「法人化」について、昨年度の交渉では、学長は「通則法」による独法化に反対であることを表明した。今回の文科省調査検討会議「中間報告」は、内容的には通則法と大差ないと思われるが、「中間報告」についての学長の認識を示すこと。

(組合) 現在とこの懇談項目を作成した時と状況が変わっていると思うが、この間の変化も含め、法人化についての認識と今後どのように対応するのがお聞きしたい。
(学長) 通則法による法人化には反対。ただ反対だけでは先に進まない。反対するためには対案を出さねばならない。検討会議が立ち上がった。自民党(麻生氏)も通則法の適用はいけないといっている。中間報告と最終報告を比べてみると前進しているところがたくさんある。いちばん心配した中期目標・計画は中間報告では主体が主務大臣だったが最終報告では大学が主体的に決める事になった。国大協が心配していたところがよくなってきている。国大協総会で、通則法のもとでの法人化ではないと賛意を投じた。国大協は最終報告に盛り込まれたものを法律にきっちり盛り込むべきだと、文科省と討議できるよう、最終報告が曲げられないよう頑張ると説明しておく。
(組合) 通則法ではないといったが?
(学長) 通則法ではない。国立大学法人法になる。通則法からは離れる。今や新しい法律がどうなるかが問題。
(組合) 最終報告がペストという事か。
(学長) おおむねこれなら呑めるという国大協の判断。大学の自主性がどれだけ確保できるがだ。非公務員型についてはあれよあれよという間に決まった。文科省は非公務員型が良いとしていた。国大協は教官は非公務員型、事務官は公務員型が良いと考えていた。教官は頑張れば動ける。教官はむしろ非公務員型がよい。同一組織の中で雇用体系が違うことの問題点について人事院から示唆を頂いた。議論の結果、公務員型が良いと言ってきた。
(組合) なぜ非公務員型になったのか。
(学長) 知りません。従来の権利は保障される。教時法は外れる。教官の身分についての法律を作らないといけない。これからだ。
(組合) 中間報告がら最終報告へは前進があったとの発言だが、そうでないところもあるのか。
(学長) 設計が具体化していない。財務会計が具体的に盛り込まれていない部分がある。学長の選考でも前進している。大学は意思決定に時間がかかる、責任体制はあるのかと財界から指摘された。
(組合) 非公務員型になり教特法が外れると言う事が公立学校教員の給与にまで影響があることは知っているのか。
(学長) 当然でしょう。基準として使われると言う事は影響が及ぶでしょう。これからは給与については大学の努力で大学で決められる。
(組合) そういうことが配慮されて非公務員型が決まったのか。
(学長) 教官を非公務員型にしたほうが活性度が上がるということを踏まえた議論。公立学校にむしろよい影響を与えるのではないか。
(組合) 熊大としてどのように対応するのか。
(学長) 法人化が顕在化してきた時、熊本大学が末永く存在し、国際的にも良い大学に認知されるためには直すところがある。大学はどうあるべきかを前提とし、どう直していったらよいかと言う会議を開いている。問題点を改善する会議を作り、評議会にかけ、努力してきている。昨年暮れ、大学が法人化になった場合の会議を持ち、9月末までには方針を出すべく検討している。来年の今頃には中期計画を出さないと間に合わない。自分の在任中に中期計画の基礎を作っておかなくてはならない。

3. 大学の組織運営体制について
 この間、さまざまな学内の組織・制度にかかわる改革が構成員の十分な討議を保証しないままいわばトップ・ダウン方式で押し進められている。今後、教職員の移動、教育・研究条件の変更につながる組織・制度改革については、学内論議を十分に保証し、合意なしには行なわないこと。

(学長) 自分はドップ・ダウンをしていない。自分がトップだ。何をもってトップ・ダウンと言うのか。学部には全部伝えている、伝わっていないのはどこかで止まっているんだ。責めるところが間違っている。
(組合) 学部が悪いということか。
(学長) 評議会が月1回、回答までに1週間くらいしかない時がある。事後報告になる場合があるが、可能な限り部局長に尋ねる。重要な事は評議会で示し、1ヶ月位後に評議会で検討するとしている。トップ・ダウンと言われるのは困る。

4. 教員の待遇改善ならびに教育研究条件改善について
(1) 予算配分の方式が変更されたことで、各学部あるいは研究室の予算が大幅に縮小され、教育・研究条件が悪化している。地道な教育・研究を継続的に支えることのできるような今後の予算配分における具体的な手立てを明確に示すこと。
(2) 任期制を適用される教員の勤務条件等は職員団体との交渉事項である。導入に際して組合との意志疎通を図り、勤務条件等については、組合との交渉を行なうこと。
(3) 「熊本大学外国人教員の任期に関する規則」は、昨年、第3条に特例として「必要があるときは定めないことができる」となったが、外国人であることを理由に一律に任期を設ける点では差別的である。外国人も日本人と同様の扱いにするよう規則を改正すること。
(4) 研究専念期間(サバティカルリーブ)に関して、全学的に「サバティカルリーブ検討委員会(仮称)」を組織し、制度化に向けて本格的に努力すること。

(学長) (2)任期制は法律で非常にはっきりしている。無批判に導入しても意味がない。期日を決めて展開するプロジェクトなどは、任期を設ける事により流動が加速する。任期制導入すべしとは言っていない。大学の教官はお座敷がかからなければ一人前しやない。一所にいて進歩があるか、外に出て自分の大学の良いところもわかる。発生研に任期制を入れたのは、10年期限で更に大きな組織に引き継ぐために先生方が頑張るだろうと考えたから。医学部と充分協議し、導入し、再任の制度も整えている。いまの研究が10年間続いているとは思わない。優秀なら任期が来る前に引き抜かれていく。
(学長) (3)この問題が生じた時、評議会で議論した。評議会が慎重に結論を出した。下手に、日本人と外国人と同じにした時のデメリットを評議会は考えて、こうした方がいいのではないかという配慮をした。
(組合) デメリットとは。
(学長) 任期を定めないためのデメリット。辞めていただきたい場合、(採用の場合、見損ないがあったり、学生に悪影響を与えたり、研究も当てが外れるなど)辞めてもらうわけにもいかなくなる。そういう意味で慎重に結論を出した。3年任期、再任もできる、任期をつけないこともできる、すべてに対応できるようになっている。しばらく様子をみましょうという議論だった。
(組合) 見直しの道はあるのか。
(学長) 当面という事。
(学長) (4)アメリカでは契約3年、再任、テニュアとなり、最終雇用となった人に与えられる。サバティカルを取れる人はごく限られている。給料は出るが研究費、渡航費は出ない。日本の在外研究では給料、研究費、渡航費全部出る。大学が独自でやった場合、文科省がこれまでの在外研究の予算をカットする恐れがある。
(組合) 最終報告の話に戻るが、最終報告に問題はないと思うか。
(組合) 最終報告には評価の時、任期制を取り入れるかどうかも評価の対象になるとあるが問題ではないか。
(学長) 国大協は評価、資源配分には問題があるとしている。評価が資源配分に直結していることは受け入れがたいといっている。他から是非来て下さいといわれるくらい、先生方は頑張ってください。

 

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