2004.6.25 |
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熊大当局は回答不能!!—外国人教師処遇問題をめぐって(4)— |
我われ熊本大学教職員組合は,昨年末に浮上した法人化後の外国人教師の処遇問題——法人化後は外国人教師を任期付き教員に切り替えようとする問題——の経緯と問題点をお伝えしてきました(2003年度『赤煉瓦』№36,№42,№44)。現職5名の外国人教師を任期付き教員に切り替える問題は,2005年度から任期の定めのない常勤教員(助教授)とすることで解決をみました(2004年2月26日評議会)。しかし,現職の外国人教師が退職した後のポストを労働基本法第14条・「国立大学法人熊本大学職員雇用規則」第7条に基づく3年任期の有期雇用契約の教員(助教授または講師。再任は2回に限り可)とする問題は,依然として残されたままです。 現職外国人教師の退職後のポストを任期付きとするために,「大学の教員等の任期に関する法律」・「雇用規則」第8条ではなく,労基法第14条・「雇用規則」第7条を適用する根拠として熊大当局が挙げるのは,“「大学教員任期制法」第4条第1項1号に基づく任期制導入は,多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織を単位に行なうものであり,特定の職=ポストごとに行なうことはできない。「大学教員任期制法」・「雇用規則」第8条を適用できないために,労基法第14条・「雇用規則」第7条を適用する。これは文部科学省・厚生労働省にも確認済みである”というものでした。この熊大当局の見解が「大学教員任期制法」を曲解・誤解したものであり(文部科学省の本来の法解釈とも異なり,かつての熊大当局の法解釈とも異なる),「大学教員任期制法」第4条第1項1号に基づく任期制導入とは教育研究組織全体を単位とするものではなく,大小様々な教育研究組織(学部・研究科・学科・専攻・講座・研究部門)で多様な人材の確保が特に求められる職=ポストを指定して行なうものであることは,2003年度『赤煉瓦』№42で詳述した通りです。 我われ熊本大学教職員組合は,3月29日に開催された2003年度学長交渉の場でも,この「大学教員任期制法」の解釈について追及しましたので,その内容とその後の経過をお知らせします。 学長交渉で回答不能の熊大当局——文書回答を確約 学長交渉の交渉項目8において,「大学の教員等の任期に関する法律等の施行について(通達)」(文部事務次官・佐藤禎一,1997年8月22日)と文部省高等教育局「大学の教員等の任期に関するQ&A」(『大学資料』№134,1997.10)を参考資料として提出しながら,「大学教員任期制法」第4条第1項1号に基づく任期制導入が教育研究組織で多様な人材の確保が特に求められる職=ポストを指定して行なうものであることを確認したところ,熊大当局は回答不能の状態に陥りました。そこで,我われは,文部科学省に問い合わせした者と文部科学省の回答者,ならびに文部科学省の回答内容を後日組合に文書で回答することを求めるとともに,文部科学省が我われと同様の法解釈を示した場合は,労基法第14条・「雇用規則」第7条に基づく任期制を改めることを要求し,熊大当局は文部科学省に問い合わせした者と文部科学省の回答者,文部科学省の回答内容を文書で回答することを明言しました。長文にわたりますが,念のため,交渉の記録を引用しておきます。
問われたことに答えていない内容の回答——再び回答不能に その後,4月12日に人事課から組合へ文書による回答が届きました。ところが,「教員の任期制について」と題されたその回答は,驚くべき内容のものです。回答を約束したのは,「大学教員任期制法」第4条第1項1号に基づく任期制導入が教育研究組織全体を単位に行なうものであるとした文部科学省の具体的解釈,熊大から文部科学省に問い合わせした者と文部科学省の回答者ですが,それには何ら答えていないものでした。とりあえず,回答文書を引用しておきます。
誠実性あるいは能力を欠いた熊大当局!?——根拠はない!? 「大学教員任期制法」第4条第1項1号に基づく任期制導入が教育研究組織全体を単位に行なうものであるとは文部科学省にも確認済みとの見解を示し,如上の組合への回答を確約したのは,昨年度限りで都城高専事務部長に「栄転」した前人事課長です。彼が上に引用した組合との約束に何ら答えていない内容の回答を準備して新年度の人事課に引き継いだのは,組合との交渉を誠実に行なわなかったか,組合の要求を全く理解できなかったか,文部科学省高等教育企画課の回答を手前勝手に誤って解釈したか,のいずれかでしかあり得ないはずです。 いずれにせよ,学長交渉後,約3ヶ月近くを経過しても回答できないままなのですから,現職外国人教師の退職後のポストを労基法第14条・「雇用規則」第7条に基づく任期制とする根拠はないと見られて然るべきです。 学長,ならびに当該学部長・評議員に要求する!! 上述のように,前人事課長に大きな問題があったとしても,責任は前人事課長の見解を鵜呑みにした学長・評議会にあります。我われ熊本大学教職員組合は,現職外国人教師の退職後のポストを労基法第14条・「雇用規則」第7条に基づく任期制とする根拠を明示できない以上,2003年12月25日・2004年2月26日の評議会決定を見直すことを学長に強く要望します。 外国人教師2名が昨年度限りで退職し,後任人事を進める必要のある部局があります。その学部では,「仮に法人化後,外国人教師のポストを任期制とする場合には,『大学教員任期制法』に基づくものとするよう,強く要望いたします」という要望書が教授会構成員の過半数を大幅に越える賛同を得て部局長に提出されていたにもかかわらず,専門教育の確実な実施,教養教育の責任を勘案して,10月1日付けの採用に向けて人事が進められることになりました。しかし,その学部では人事開始の条件として次の事項が教授会で確認されています。
大学教員の任期制導入にあたって,“「雇用規則」第7条を適用するか,第8条を適用するかは,各部局で検討し,最終的には企画・経営会議で承認を得ることになるが,企画・経営会議は各部局での判断を承認するものとなる”という2004年3月5日開催「就業規則に関する説明会」での 法人制度設計委員会人事労務部会長の見解は,学長交渉の場でも「それはそれで良い」と当局が確認しています。これを踏まえても,外国人教師の退職後のポストの任期制の扱いの見直しを学長は早急に行なうべきです。 |