No.28
2006.12.21
熊本大学教職員組合
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※このドキュメントは、オリジナル文書への熊本大学使用者と全国大学高専
教職員組合書記長からの指摘を勘案し、同文書に修正を施したものです。

団体交渉拒否問題について
熊本県労働委員会の
あっせん案を受諾しました
 「熊大使用者は『五高記念館』助教授の任期制導入問題について団体交渉を拒否!-組合は熊本県労働委員会にあっせんを申請しました-」『赤煉瓦』18,2006.9.19)でお伝えしたように,「五高記念館」助教授の任期制導入問題について,団体交渉申し入れ・説得を再三重ねたにもかかわらず,熊大使用者が頑なに団体交渉を拒否しているため,我われ熊大教職員組合は9月12日に熊本県労働委員会へあっせんを申請しました。あっせんは,10月16日,11月28日,12月15日の計3回開催され,12月15日に熊大使用者と組合は労働委員会のあっせん案を受諾しました。ここでは,3回に亙るあっせんの概略と受諾したあっせん案の内容をお伝えします。

 まず熊大使用者が示した団体交渉拒否の理由と組合の主張を改めて確認しておきましょう。
【熊大使用者が示した団体交渉拒否の理由】

@ 「大学教員任期制法」に基づく教員任期制は,本学ではすでに人事制度として確立しており,「五高記念館」助教授の任期制は新たな任期制の導入ではないと考えるため。
A 「五高記念館」助教授は雇用前の段階であり,現在の組合員の労働条件に何ら影響するものではないと考えるため。
【組合の主張】
@ 大学教員任期制法」に基づく教員任期制は職(ポスト)を指定して導入するものであり,任期制か否かは重大な労働条件の問題である。
A 「五高記念館」助教授の労働条件は,組合員の労働条件にも大きく影響する問題である。
上記@・Aとも義務的団体交渉事項であり,団体交渉拒否は不当労働行為にあたる。

10月16日 第1回あっせん
 組合から労働委員会に主に次のことを説明しました。
(1) 『赤煉瓦』18でお伝えした通り,熊大使用者が挙げる二つの拒否理由は,どちらも理由にはならないものであり,二重の意味で義務的団体交渉事項を無視したものであること。
(2) 「相変わらずの安易かつ杜撰な任期制導入!?」『赤煉瓦』7,2006.7.13)でお伝えしたように,「五高記念館」助教授の任期制導入は,@専門家集団(学芸員課程担当教員)の検討結果を無視し,任期制の適否の審議を欠いたまま「人事委員会」で「決定」したとみなしている,A任期制導入の正式決定=「教員の任期に関する規則」の改正(教育研究評議会での審議を踏まえた役員会の決定)以前に教員公募が行なわれているなど,導入手続きに重大な瑕疵があること。
(3) 「五高記念館」助教授の職務内容は任期制に適するものではないこと。
 労働委員会からは,"「五高記念館」助教授の労働条件は他の教員・組合員の労働条件に影響するかどうか,これまで任期制導入をめぐって団体交渉をもったことがあるか"を尋ねられ,学芸員課程の仕組みを説明しながら,「五高記念館」助教授の処遇・労働条件は学芸員課程を担当する複数の教員の労働条件に影響すること,これまで発生医学研究センターでの任期制導入の際(2000年),外国人教師の退職後のポストへの任期制導入の際(2004年)に団体交渉を行なったことを説明しました。
 さらに,労働委員会から組合は"今回の人事の白紙撤回を求めるのかどうか"を尋ねられ,組合は"すでに教員公募が行なわれ選考が進められている段階であるので,人事のやり直しを求めるつもりはない。導入手続きの瑕疵を事実確認したうえで,今後同じ過ちを繰り返すことがないようにするためのルール作りなどについて,「五高記念館」助教授と学芸員課程担当教員に不利益がないよう具体的な労働条件について,交渉したい。そのために,団体交渉の開催を強く求める"と説明しました。
 熊大使用者側は,交渉拒否の姿勢を変えることはありませんでした。

11月28日 第2回あっせん
 前回の補足として組合から,発生医学研究センターでの任期制導入と外国人教師の退職後のポストへの任期制導入の際の団体交渉の記録を提出して経緯と内容を詳しく説明し,また「五高記念館」助教授の労働条件は学芸員課程の4つの授業を担当する8名の教員,うち5名は組合員の労働条件に密接に関係することを具体的に説明しました。
 その後,"熊大使用者側は労使協議の結果,団体交渉に応じることはあり得ると姿勢を軟化させているが,組合側は労使協議の開催についてどう考えるか",労働委員会から尋ねられました。組合は,"団体交渉を円滑に進めるためにも,労使協議の開催には賛成であり,団体交渉の途を閉ざすものでないのであれば,労使協議に応じる。現在,労使協議の定期的な開催に向けて使用者と話し合いを進めている最中でもある"と答えるとともに,"団体交渉に応じることがあり得るということは,団体交渉拒否と理由を明記した8月11日・31日の回答文書を撤回するということか"と尋ねました。

熊大使用者が8月11日・31日に示した交渉申し入れの回答の内容

 平成18年6月18日及び7月20日付けで、五高記念館の助教授の任期制及び同労働条件について交渉の申し入れがあった件について回答します。
 交渉は、組合員の労働条件に関する事項について行うものと理解しております。同館の助教授ポストは、新設のポストであり、現在の組合員の労働条件に何ら影響を与えるものではないということから、交渉には馴染まないと判断します。
 なお、今回の助教授ポストの新設に伴う公募の内容につきましては、質問等があれば説明したいと考えています。
 これに対して,労働委員会から“8月11日・31日の回答文書を撤回はしないが,無視してもかまわない”旨の説明を受け,組合は団体交渉の途を閉ざすものでないのであれば労使協議の開催に同意する意志を示しました。

12月15日 第3回あっせん
 これまでの補足として組合は,「五高記念館」助教授の採用は12月1日と伝えてきたが,2007年1月の誤りであったと訂正しました。また,組合の顧問弁護士から,最高裁の二つの判例
(国鉄団交拒否事件[平成3年4月23日判決],高知新聞事件[昭和35年4月26日判決])に基づけば,今回の事案は団体交渉事項であることを説明しました。
 また,8月11日・31日の回答文書の扱いについて再確認し,労働委員会から“8月11日・31日の回答文書は熊大使用者の基本線を示したものであるため,撤回はしないが,基本線は変わり得るもの。したがって,無視してよい”旨の説明を受けました。
 その上で,労働委員会からあっせん案が提示されました。あっせん案の内容は次の通りです。

あっせん案


 熊労委平成18年(調)第3号国立大学法人熊本大学事件について、熊本大学教職員組合(以下「組合」という。)及び国立大学法人熊本大学(以下「大学」という。)は、お互いの立場を理解、尊重し、互譲の精神に則り、下記により解決されたい。

  1. 組合及び大学は、五高記念館専任助教授への任期制導入及び同助教授の労働条件について、その問題点を整理するための労使協議を行う。
  2. 上記1の労使協議においては、組合及び大学は誠意をもって話しあうものとする。
  3. 上記2の結果、団体交渉を行うこととされた場合は、組合及び大学は誠意をもってこれを行う。
  4. 組合及び大学は、今後の労使間の諸問題を労使が協調し円滑に解決していくことを目的として、労使協議制の制度化を図り、より良い労使関係の構築に努める。
  5. 組合及び大学は、このあっせん案の受諾によって本件に関する一切の紛争が解決したことを確認する。
  6. 組合及び大学は、本件が解決した後において、事件及びその解決したことを広報・宣伝の具に供してはならない。
※ なお,6の規定については,あっせんの結果を組合ニュース等でお伝えすることを排除するものではありません。
 組合は,このあっせん案の内容には団体交渉の途を閉ざすものではないこと=労使協議で労使間の見解の違いが生じた場合,組合が団体交渉の開催を申し入れれば団体交渉となることが含意されていることを確認したうえで,あっせん案を受諾しました。

早急に労使協議の開催を!!
 この間,熊大使用者と組合は,定期的な労使協議の開催とその枠組みについて合意しています。熊大教職員組合は,労働委員会のあっせん案の受諾と,合意した労使協議の枠組みに基づき,早急に労使協議を開催し,さらには団体交渉を通じて問題の解決を図っていきたいと考えています。

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