2007.10.30 |
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6月期勤勉手当の残余 1900万円の上乗せ支給へ |
赤煉瓦10号で本年6月期の勤勉手当支給実績が、総枠規制の額から1900万円程度少なくなっていることを紹介しました。これは6月期の勤勉手当が国家公務員より0.02月分少ない0.705月分だったことを意味します。組合では9月27 日に要求書(赤煉瓦12 号)を提出し、12月期の勤勉手当を0.02月分上乗せするように求めました。 この件について10月23日の団体交渉において、「6月期における支給限度額と支給総額との差額については12月期の勤勉手当に上乗せする仕組みを作る」との回答がなされました。今回のニュースではこの点を含め団体交渉の報告を行います。 【1】勤勉手当について 人事院勧告がまだ閣議決定されていないという事情を踏まえ、「勧告が完全に実施された場合」という前提で以下の趣旨の回答が行われました。
(1)の扱いについて、人員分布率を国家公務員の標準に増やせという要求は全面的に受け入れられました。6月期の差額の扱いについては組合はC区分の成績率を上げることによって対応するよう求めていましたが、回答は成績優秀者を増やすことによって行うというものでした。ただし、この差額は成績優秀者への原資が活用されなかったことによって生じたものですから、成績優秀者を増やすという使用者側の判断には一定の合理性があり、組合は争いませんでした。 (2)の扱いについて、使用者側の提案に従えば教職員の平均的成績率は0.81235になります。本年6月期の平均的成績率は0.7475でしたから0.06485増えたことになります。6月期の支給実績は0.705月分ですからこれでは0.77月分にしかなりません。しかし6月期は新採用者で期間率の下がる人が多くいたために2700万円程度の原資がありました。12月期はこの額は大幅に減りますがまったくなくなる訳ではありません。使用者側の提案は、成績優秀者として推薦された人の賃金水準によっては成績優秀者への配分原資が再び未消化に終わる可能性があります。 (3)の扱いについては、結果的に総額規制からはみ出したとしても推薦された人にはその通りに支給すべきだと要求しましたが議論は平行線のままでした。使用者側の主張は「国からの運営費交付金によって運営されているので国の扱いの範囲内に収めなくてはならない」というもの、組合の主張は「総額規制は扶養手当等という大学の経営状況と無関係な基準で設けられており合理性は無い。教職員は法人化によって外部資金の獲得・病院収入の増額などの努力を求められているのであるから、それに応える仕組みが必要だ。国立大学法人となったのにいつまでも公務員感覚の経営を行うべきではない。制度的にも総額規制をはみ出すことを禁じられていない。」というものです。 以上を踏まえ組合としてさらに次の2項目を要求します。
【2】教養教育への貢献者についての推薦は学長の判断を仰ぐ 次に教員の昇給区分の取扱いに関するガイドラインについての報告をします。組合は各部局長の推薦では特に教養教育の貢献者が昇格の対象者にならない可能性があると指摘し、機構長推薦枠を要求しました。この要求は実現しませんでしたが、推薦に際して留意すべき事項に「部局等を越えた教育・研究活動」が加えられました。例示では「教養教育への貢献」が明示されています。教養教育実施機構長推薦枠を設けるべきという組合の要求からは不十分ですが、一歩前進と考えます。なお、議論の中で「学長推薦枠を利用して教養教育貢献者を処遇すること」を提案しました。学長が機構長と相談すればいいのですから、実質的な機構長推薦枠になります。組合は、新たな提案を学長に伝え判断を仰ぐことを要求し、使用者側もこれを了解しました。 なお、ガイドラインの改善については部局長等連絡調整会議において複数の部局長の方が同趣旨の意見を述べております。このような背景があっての成果だと認識しており、意見を述べられた部局長の皆さんに敬意を表します。また、勤勉手当の成績区分ごとの推薦にあたっても同趣旨の改善を行うとの回答を得ています。 もう一つ、「個人活動(自己)評価書については、勤務実績を判断する際の参考資料として取り扱う」との文言について「参考資料」の意味を質しました。これは文字通りの参考資料であり、推薦を評価書に基づいて行うという意味では無いことを確認しました。 団交では教員以外の職員に対する査定昇給のガイドラインも議論になりました。これについてはガイドライン(案)が23日の団交終了時に示されただけで、まだ本格的な議論は行われていません。ただし、使用者側は「職員の意見を聞く考えは無い」との立場を示しており、学長決済でことを進めようとしています。組合はガイドライン(案)の周知と職員からの意見聴取を求めています。 【3】その他の団交での協議事項について まず、入試手当についてですが採点業務と出題業務については管理職手当との併給禁止規定を適用しないとの回答がありました。前期日程の採点・出題業務は特定の教科に負担が集中しており、その教科では管理職手当を支給されている人にも業務を依頼せざるを得ないという実情がありました。この措置も昨年来組合が要求してきたことですが、ようやく実現を見ました。 このようにいくつかの成果が上がった団交でしたが、多くの項目で歩みよりはまったく見られないままでした。 (1) 特別都市手当と広域異動手当について 組合は役員に対する上記手当の廃止と、この手当に関する4月1日に遡る改善措置を行わないよう要求しましたが拒否されました。使用者側の理由は「法人化後も全国の大学等との人事交流を実施しており、それを円滑に行うためにも国と同様な措置が必要である」というものです。組合は人事交流という概念自体が国立大学法人のあり方に矛盾していると考えており、異動によって賃金の減額される場合での一定の優遇措置は必要だとしても、官庁や国立大学からの異動のみを優遇するという措置には反対しています。特に役員に対する優遇措置(赤煉瓦 6号)は、賃金切り下げを強行した大学執行部には道義的に許されないことと考えます。事務局長は法人化により役員となり、指定職に相当する報酬を受けているのです。 (2) パートタイム職員のボーナスについて 組合は、職員の8割の賃金を保障するという考えから年間1.2ヶ月分のボーナス支給を要求しました。これについては国の動きを見ながら検討するという曖昧な回答にとどまりました。国家公務員でも支給されている省庁もあり、今後とも実現に向けて運動を続けていきます。 (3) 入試手当の金額について 組合は、前期日程の出題業務、センター試験の主任監督業務、学力検査委員会の教科ごとの部会の委員長・副委員長の業務など、業務の量と責任が手当額とあっていないものについて改善を求めました。「当面手当額を変更する考えはない」という回答でした。 この団交では他に賃金不払い残業の問題も扱いましたが、これについては7月以降の協議の経過も含めて別のニュースに回すことにします。 ※)11/16 訂正しました。 |