2009.11.16 |
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——11月5日臨時大会・11月11日団体交渉報告—— |
熊本大学教職員組合は,11月5日にを開催するとともに,臨時大会11月11 日に給与引き下げ問題に関する4回目の団体交渉を行ないました。 これまでの団体交渉によって使用者と組合の間に共通認識が形成されている点もありますが,「給与引き下げによって生じる余剰金はすべて人件費に充てるべき」という組合の最大の要求については平行線をたどったままです。11月11日の団交交渉で組合側が「合意する場合の条件」を具体的に提示したことによって,合意するか決裂するか,交渉は次回,最大の山場をむかえることになります。 ここでは,11月5日の臨時大会と,11月11日の第4回団体交渉の内容についてお伝えします。 11月5日臨時大会——合意する場合の条件と決裂した場合の対応方針を決定!! 熊大教職員組合は,賃金引き下げのような労働条件の基本にかかわる問題については大会を開催して組合の意志を決定することにしています(これは,今年度の活動方針でも確認しています)。10月30日までの3回の団体交渉によって使用者側の考えがほぼ明らかになったことを受け,11月5日に臨時大会を開催し,今後の具体的方針を決定しました。 大会では,まずこれまでの交渉経過について報告がありました。すでに3回の『赤煉瓦』(2009年度№15,№16,№19)でお伝えしていることですが,簡単に整理しておきます。
これに対して,“引き下げの合理的根拠を示せていない以上,妥協策を探るよりも,使用者の違法性を徹底的に追及すべきである”という強い意見が出されましたが,執行部から“使用者の違法性の追及は執行部も貫いているつもりであり,その意見との間に認識の相違はない”・“使用者側に十分検討してもらうためにも「合意する場合の条件」を検討したい”と回答があり,引き下げ提案に合意する場合の具体的条件を審議し,決定しました(決定した具体的条件は2枚目の右側をご覧ください)。 さらに大会では,交渉が決裂に終り,引き下げが強行された場合,どのような運動を行なうかについても,執行部から提案され,審議のうえ承認されました。 11月11日の団体交渉 最初に,前回の交渉で組合側から出された質問に対する回答が谷口学長と森理事から示されました。ここでは各項目ごとに回答と組合の反論をまとめる形で報告します。 1.基本給・一時金削減の合理性について 使用者からの回答は“ラスパイレス指数の低さは地域手当の問題や年齢構成が原因であり,個人のレベルでは国家公務員と同じ給与水準である”という従来からの回答にとどまりました。その一方で,“熊本市が政令指定都市になるのにともない,地域手当の支給対象地になるよう市とともに働きかけたい”,“上位級ポストの新設などラスパイレス指数を改善する努力も行っている”などの発言も行いました。これに対する組合の反論は,以前と同様ですが,確認のため箇条書きしておきます。 こうした組合の主張に対して,使用者は“我々は合理性があると思っている”といった主観的に過ぎる見解を示すにとどまりました。 2.6月期ボーナス凍結分の処理について 前回の団交で谷口学長は“一時金については不利益遡及する”といった問題発言をしましたが,今回の交渉では“ボーナスは年間を通じて支給月数を決めるものであり,不利益遡及にはあたらない”と説明しました。これに対して,組合は次のように反論しました。
3.熊本大学の財務状況について 使用者側は基本給・一時金引き下げによって生じる財源の約半分を省エネ型蛍光灯にあてることにこだわり続けています。この点について組合は“昨年度の総利益金が12億円あることを指摘したうえで,人件費を削減しなくても対応することは可能なはずである。あえて人件費の余剰分を使うというのであれば,今年度の財務全体の状況をふまえて人件費の削減分から拠出しなければならない必然性の説明を求める”としていました。これに関して学長は,“昨年度の総利益金12億円は,現在,目的積立金とするよう政府に申請中であり,政府の承認が無い限りは使えない。目的積立金は部局ごとに積み立てており,部局が使用するものなので全学的な扱いはできない”と説明しました。 この学長の説明は,組合の要求を誤解したものです。組合は昨年度の総利益金を省エネ型蛍光灯の購入にあてるべきと主張したのではけっしてありません。組合は“12億円もの総利益金を積み立てられるような良好な財務状況にあるにもかかわらず,なぜ賃金の引き下げをしなければ省エネ型蛍光灯を購入できないのか”と説明を求めたのです。不当にも使用者側は財務担当理事を交渉に出席させないという姿勢をとりつづけており,今年度の財務状況については何ら説明することはありませんでした。省エネ型蛍光灯の購入に必要な経費は約1億5千万円,導入によって削減される電気代は毎年1600万円という説明には,導入の必要性自体を疑問視せざるを得ません。学長は,それを“将来,賃金を増額する必要性が生じた場合への先行投資である”というのですから,なおさらです(原価償却するだけでも,10年近くを必要とします。一体,どのような経営感覚をもっているのでしょうか?)。仮にその必要性を認めたとしても,人件費の削減分をあてなければ行なえないという説明はまったくありませんでした。 4.組合が要求する不利益緩和措置について 組合は,“基本給・一時金を引き下げるのであれば,不利益緩和措置を行なうべき”と主張し,計11の事項を要求しています。なかでも(1)休日(土・日・祝日)勤務に対する休日給の支給、(2)入試手当の増額、(4)特定有期雇用職員の正職員化に備えた退職金の積み立て、(8)技術職員の初任給格付けの正当化の4つを重点項目としています。この4項目のうち(4)と(8)については,基本的に組合と共通の認識をもっているとの使用者の見解が示されました。しかし,(1)については「原則は休日振替とする」という立場にこだわりつづけ,“振替日に業務を行なった場合は休日給を支給することを徹底する”と回答しました。(2)については“教員以外についても入試手当の対象に加えることを検討している”,“採点手当の改善については具体的方法を検討している”と歩み寄りの姿勢を見せました。 (1)に関する使用者の回答は,“原則は休日給支給とし,休養が必要な職員には年次休暇,あるいは代休で対応すべきである”という組合の考えと大きく隔たったままです。しかし,時間の関係上,今回の交渉では十分な議論を行なうには至っていません。(2)・(4)についても,使用者側が歩み寄りの姿勢を見せているとはいえ,具体的な内容は示されておらず,組合が納得できる回答にはなっていません。 基本給・一時金削減による余剰金はすべて人件費に充てるべき これまで繰り返しお伝えした通り,今回の給与引き下げ提案は,第四銀行事件判決にある「高度の必要性に基づいた合理性」の要件を満たしたものではありません。就業規則の変更によってこの引き下げを行なうのは違法行為です。熊大教職員組合は,違法な提案に合意することはしません。唯一,合理性を担保する方策は「代償措置」です。組合が“基本給・一時金削減によって生じる余剰金はすべて人件費に充てるべき”と要求しているのは,引き下げによって労働者が受ける不利益の程度を緩和し,今回の提案に合理性をもたせるためにほかなりません。しかし,森理事は“余剰金をすべて人件費に充ててしまったら,増額勧告が出たときに対応できなくなる”と主張しました。裏をかえせば“省エネ型蛍光灯を買えば,毎年1600万円節約できるので,増額勧告にも対応できる”という主張です(その荒唐無稽さは,前述の通りです)。これに対して組合は
すべては熊大使用者の対応次第——11月19日の次回団体交渉に注目を!! 今回の団体交渉において,組合は臨時大会で決定した給与引き下げ提案に合意する場合の条件を具体的に提示しました。また,今回の給与引き下げに合意することは,実質的に“労働協約にある6月期ボーナス凍結分の扱い”,ならびに“2006年4月に強行した約4.8%の賃金削減”の争議状態を解消する意味をもつことを使用者に伝えました。“給与引き下げによって生じる余剰金はすべて人件費に充てるべき”という組合の要求は,合意の内容と比べれば,ささやかなものです。 給与引き下げによる熊本大学教職員の苦痛を少しでも緩和することができるか否か,2005年度以来の争議状態を解消できるか否か,熊本大学使用者の違法行為を逃れることができるか否か——これらのすべては,組合が提示した「合意する場合の条件」に使用者がどのように応じるかにかかっています。 次回の団体交渉は,11月19日に予定されています。熊本大学使用者がどのような対応を見せるか,ご注目ください。
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